【後編】奄美大島でルアー釣り&ポイント紹介ー空港近く・大和村方面

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ここからは海釣り初心者の私一人での釣行となります。果たして青物を仕留めることは、出来るのか?!

 

空港の西側にあるリーフのポイントに入ります。

 

亀に見える奇岩の近く

 

五目釣りはある程度楽しめましたが、気がかりは同行者が残していったカスミアジとカツオの残像です。

青物に強く憧れ続けてきた私にはあまりに眩しい光景で、手の平サイズの熱帯魚をどれだけ釣ったところであの二匹とは比べるべくもありません。

同行者は青物をポッパーで釣っていたことを思い出し、私もひたすら真似をしてこれを投げ続けることにしました。

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冗談のつもりで持ってきたバス用のポッパーに太いフックを付け直して、あちこちに投げ続けます。

すると、勢いよく魚がルアーに絡みついてきました・・・

が、ダツでした。

そう甘くはありません。でもダツのおかげでやる気を維持してルアーを投げ続けていると、ピックアップしようとしているポッパーに二枚の青い円盤のような魚が突進してきました。

そのうちの一つがポッパーを水中に引きずり込んだ瞬間、ラインがプツりと切れて、だらりとしたライン先だけが手元に戻ってきました。

・・・。

眼の前で魚の色や形を見た印象では、30センチくらいのカスミアジあたりのなんとかアジだったのでは無いかと思います。

手元に寂しく帰ってきたラインの先っちょを見てみたところ、先がくるんと丸まっています。

どうやら魚の引きが強すぎたわけではなく、スナップがきちんと結べておらず抜けてしまったようです。

・・・。

海釣り初心者とはいえ、スナップくらいはきちんと結べるようになりたいものです。

ここでの釣りをいったん諦めて、奄美大島のイオンとも呼ばれる?ビッグツーで新しいポッパーを入手し、名瀬の漁港に移動します。

 

小宿漁港

 

先程の魚の感触が忘れられずにポッパーを投げ続けましたが、魚の反応は無く陽が暮れてしまいました。

小魚を追わずに青物を狙い続けられた自分に満足しながら車に戻ってみると、車の横で目をギラつかせた男性が待ち構えていました。

「お前、何様のつもりでここに車停めとんじゃ!!」

細面の髭面にくすんだ色のスウェットに身を包んだ彼は、私が駐車した位置に不満があるようです。その後わかったことですが、彼は名瀬漁協に所属する漁師さんだそうです。

「おいコラ、この看板が見えんのか!!!!」

今にも殴り掛かりそうな雰囲気で声を荒らげた彼が示す先には「駐車禁止」という文字は無く、「ポイ捨て禁止」と書かれた看板のみがありました。(その後調べた結果、漁港に一般の車が駐車してはいけないわけではなく、漁業の邪魔にならなければ問題無いとのこと)。

彼の発言をテキストにすると伝わりにくいのですが、彼は強めに酔っ払っており、また方言も相当強いため一部が聞き取れず、もう少し余計なことを言うなら教育を受けた形跡が見当たらないという風体をしています。「ポイ捨て禁止」と「駐車禁止」を間違えた件も、当時は彼のうっかりミスだと思いましたが、その後の彼の言動を見るに、もしかしたら本当に字が読めないという可能性を否定できません。

「申し訳有りません!」

ツッコめば面倒な人間であることを理解してひたすらに謝罪しつつ、しかし普段お会い出来ない彼のような原始的な漁師に強い興味を持っているためすぐに立ち去ることはせず、積極的にそのお説教を聞きながらじわじわ近づいて行きます。

申し訳無さそうな顔をしながら彼を観察していると「怒り出した人は怒り続けなければいけない」という一貫性の法則に彼は縛られているようで、先程から同じような発言をずっと繰り返しています。遂には言うことが無くなったようで、

「漁港にはお前らが車停めれないような法律をおまわりさんに作ってもらうわ!」

と言っています。

「老人と海」の世界を生きる彼は司法と立法の違いを理解していないようです。私は神妙な顔をしながら、南の僻地で漁業以外に出来る仕事が無い男性と人生を交わしているこの瞬間を堪能してしまっています。

 

後日、彼の恫喝は正当な行為だったのかを漁港を管理する奄美市の水産課に尋ねてみましたが、彼らも漁協とは関わりたくないと思っているのか

「状況がわからないので回答できません」

という、何も答えないお手本のような名回答を頂きました。

 

* * *

 

昨日まで一緒に釣りをしていた同行者に対して私は

「俺は渓流専門だし」
「そんなに海釣り好きじゃねぇし」

などと強がっていましたが、気づけば真面目なニートは日の出頃には海岸に立ち、そして律儀にボウズを味わいました。

ルアーを投げ入れても誰も見に来ないのですが、カメラを沈めるとたくさんの魚が集まってきました。

 

その後夕方まで竿を振り続けたあげくに本当に何も釣れないという事態に至りましたが、カスミアジとかカツオにこだわった結果、ワームなどではなく、ムキになって遠投できるルアーで青物を狙い続けます。

日が暮れかけてくると、宿に戻った後の光景を想像してしまいます。私が宿泊するゲストハウスは玄関の横にお客さんが集まるスタイルなおで、そこを通りかかった時に

「釣れましたか?」

と必ず聞かれるはずです。その際に

「何一つ釣れませんでした」

と答えるのが悔しく、夕まずめのベストのタイミングで何故か青物を諦めてワームをセットしてしまいます。2度と会わない人に対して格好よく見られたいという感情が自分にもあるのだなと思いながらワームをネチネチ動かしてみますが、結局何も釣れませんでした。

車に戻ろうと伏し目がちに歩いていると、海に流れ込む小さな河川に魚が居るのが目に入りました。

そのちっこい魚を釣るためにスプーンを投げ込むと、味のみりん干しサイズの小さな小さなメッキが釣れました。

 

奄美大島メッキ

この日唯一の魚の反応、とても嬉しかった・・・。

 

宿に戻ると、私の釣果に興味が無い老若男女が食卓にたむろしていました。社会性に乏しい私はリビングに居るに居られず、ベランダに逃げ出して、スーパーで購入した2割引のちゃんぽんをすすります。

特に必要の無い仕事を作って忙しいフリをして過ごしていると、リビングの方から何やら流星群の話が聞こえてきました。どうやら明日の日の出前は何とか流星群がキレイに見えるそうで、おじさん2人と若い女性の2人という絶妙な取り合わせで星を観察する話が進んでいます。

私ももちろん奄美大島からの流星群を見たいですし、さらに釣りのために早起きをすることは決定しているので、私もその会に呼ばれればやぶさかではない、というか若い女性との星の観察会に積極的に行きたいなと待っていましたが、どうにも誘われる気配がありません。恐らく集団に混ぜるとろくなことにならない人間だと察したのでしょう。彼らの人間観察の精度の高さに恐れ入るばかりです。

そこで、わざとらしくキッチンにお皿を洗いに行ったところ

「明日の早朝、流星群を見に行くんですよ~。」

という、お誘いではなく結果報告だけが浴びせられました。

「早起きして、すごいね~。」

私がその時うまく笑えていたか、今でも自信がありません。

 

* * *

 

日の出前の5時過ぎに起き出すと、流星群を見た人たちがリビングで何やら語り合っていました。

「星、キレイでしたよ~!」
「釣りですか、頑張ってください♪」

こっちは星なんか興味ありません、何より釣りです釣りなんです、という顔をして宮古崎を目指します。

 

 

車から15分くらい歩くと聞いていましたが、実際には激しいアップダウンをもう30分ほど歩き続けています。ようやく海が見えてきたと思うと、そこからは短い笹の間をかきわけて歩く必要があり、暗がりからハブが飛びついてくるイメージに囚われて半泣きになり、ようやく海辺に到着します。

リーフが広がる地形にルアーを投げ込むと、魚の反応は多いようです。

 

奄美大島宮古崎

 

こちらはちぎれたワームで釣れました。

奄美大島宮古崎

 

しかし昨日までの反省を活かせず、欲張ってルアーを沈めてはリーフに持っていかれ続けた結果、恐らく3時間ほどで7個ほどのルアーやワームを失くしてしまいました。

そろそろ釣りを終わろうかと上を見上げると、見覚えのある女性が一人立っていました。

昨日ゲストハウスで、浮いている私に気遣って話しかけてくれた聡明な美人が、まるでそこに舞い降りた女神のように君臨していました。

宮古崎

 

良いタイミングで出会ったものだと感心していましたが、あるいは、私が釣り終わるのを、ずっと上で待っていたのかもしれません。私が釣り開始から4時間で初めて見上げた崖の上に、ちょうどタイミング良く彼女が来ていたと考えるのは無理があります。

俺もなかなかやるじゃないか・・・。これまで女性の9割からは無視され、1割から罵倒された記憶しかありませんが、ここに来て遅い春が到来したのかもしれません。

そこからはお互いに絶景の中で写真を撮影しあって楽しみます。良い匂いをまとった美女と汗だくで釣り道具を抱えたおじさんがお互いに写真を撮り交わす様はさながら奇妙で、新種のパパ活提供現場にしか見えません。

そこから駐車場までの遠い遠い30分の行脚も彼女のおかげで一瞬に感じられ、あっという間のお別れがきました。

彼女は近くの観光地に行くとのことですが、これ以上一緒に居ると素敵な俺の希少価値が落ちると思い、わざと忙しいフリをして解散し、宿に帰ってのんびりお茶を飲みます。魚が釣れなかったくせに大変気分が良い私は先程の女性にLINEでメッセージを送ってみました。

が・・・。

それから4日が経過した現時点でも未だに返信は届いていません。

きっと彼女も大好きな私に長文の返信を出したはずですが、メッセージセンターでLINEが詰まって私に届かないのでしょう。

 

* * *

 

奄美大島での時間も、残すところあと2時間ほどになりました。

最後は青物にルアーを持っていかれたポイントで、懲りずにポッパーとミノーを投げ続けます。

 

すると、一度だけ鋭い魚の反応が見られましたがうまく針にかからず、別の魚が一匹釣れただけでした。

 

奄美大島コクハンアラ
コクハンアラと思われる魚

 

* * *

 

レンタカーを返却し、今回の旅の最大の懸念であった空港でのチェックインの時間が来ました。

手荷物のサイズと重量についてはセルフチェックのため、カウンターで「計測しました」と言えば問題なく通過できます。

「ただし、保安検査のところで並んでおられる時に、あまりにもサイズが大きい場合にはお声掛けさせて頂くこともございます」

と先日スタッフの方が仰っていたので、あとは保安検査を通過するだけです。

すでにピーチの制限重量である7キロも3辺のサイズである115cm以内も大きくオーバーしている状態ですが、大きさだけでもオーバーしていないかのように振る舞うべく、服をできる限り重ね着し、さらにあらゆるポケットにリスの頬のように持ち物を詰め込んで列に並びながら、先日ゲストハウスで同席した男性が関空のピーチのカウンターで起きた事件について聞かせてくれたことを思い出しました。

関空と成田のピーチは奄美大島とは違って手荷物の重量を細かく計測しますが、彼が関空で出会った大阪のおばちゃんは、手荷物の重量がオーバーしてることをカウンターで指摘され、荷物をポケットに入れたり誤魔化してもどうしようも無いことを悟ると、一瞬下を向いて静寂を作った直後、後ろの列に並ぶ人に向かって大声で

「誰か~!荷物に余裕がある人、居てませんか~!!!助けてくださ~い!」

と叫んだのだそうです。

彼はおばちゃんの結末を見届けることは出来なかったそうですが、今関空で飛行機の列に並んでいる人たちは、そのおばちゃんが過ごしてきた昭和中期の大阪の下町ですれ違うような人たちとは種類が違っているので、残念ながら残念な結果になったのでは無いでしょうか。

そんなことを思い出しながら保安検査の列で緊張していると、

「おや、同じ便でしたか」

と見たことがある男性から声を掛けられました。なんと、ゲストハウスで大阪のおばちゃんエピソードを聞かせてくれたまさにその彼が同じ便で、私のすぐ後ろに並んだのでした。

私は自分のパンパンのポケットを見られるのが恥ずかしくて猫背になり、彼のことが嫌いかのように背中を見せながら、目線を遠くに送ってやりすごしました。

結果的に手荷物のサイズも重量もチェックは無かったのでポケットをパンパンにした意味はありませんでしたが、無事に大阪にたどり着き、奄美の旅を終えることができました。

 

奄美大島で使ったタックル

青物を狙うのであれば、PEは2号くらいが良いとのことでした。

あとはスプーンに対して魚の反応が良かったですが、根掛かりですべて失いました・・・。

御慈悲の心で「いいね!」
してやってください

読む価値は無いが