「みんなができることが僕だけ出来ない」記憶に埋め尽くされた少年時代。スタイリッシュなテンカラ釣りに憧れるも「投げる」という行為が私には向いていないことが判明し、挫折。以降、投げなくても釣りになるこのチョウチン毛針釣りに行き着きました。
テンカラだけでなくエサ釣り、ルアー釣り、フライフィッシングとあらゆる釣り方を試してみましたが、元来不器用で要領の悪い私は、このチョウチン毛針釣りにたどり着きました。
今ではヤマメ・イワナが水面に出てきにくい春先を除いて、全てのシーズンでチョウチン毛針釣りをメインに渓流釣りをしています。
難しい動作が無いので僕でも簡単に出来ますし、道具も全部で5,000円でルアーのように道具の消耗が少ないのでドケチの私にももってこいです。
目次(スクロールします)
チョウチン毛針の釣り方
【投げる】ただ落とすだけ
渓流釣りの難易度を上げている、「投げる」という動作を一切省いたチョウチン毛針釣りでは、毛針をただ水面に置くだけです。
画面中央で舞っている白粒が、毛針です。
私の場合、渓流釣りで釣り針を失くす原因の大半は水中での根がかりではなく(もちろん大きなヤマメに切られるわけもなく)、空中で枝に引っ掛けたり対岸の岩に掛けることです。
この釣り方は投げないので、毛針を空中で失くすことはほとんどありません。
【食わせる】ただ流すだけ
基本は毛針を水面に落として、浮かべておくだけです。流れに沿って毛針が動くので、竿先をそれに合わせて動かせば自然に流れてくれます。
少し見にくいですが、川の反対側に白い毛針を落として、流しています。
【アワセ】魚が毛鉤を食ったら
ヤマメやイワナが食べたら音を立てて水面に飛び出すので、天然ボケで有名な私でもわかります。
餌釣りのように目印をじっとにらむ必要はありません。
▼プールで毛針にイワナが食いつく映像です
あ、食べたなあと思ったら竿をあげてください。毛鉤をくわえた直後に強くアワセてしまうと糸が切れるので、一呼吸置いてからアワせることがコツです。
掛けた後ですが、竿についている糸が短くてクッションが少なく、魚の引きをダイレクトに味わえるので、魚のサイズが二回りくらい大きく感じられます。
【取り込み】これだけ少しやっかいです
通常の餌釣りなどと違って糸の長さが竿よりも極端に短いので、手元の網にそのまま入れることが出来ません。魚に「ごめんね」という気持ちで陸地にあげてしまいましょう。
両岸がボサに覆われていてそれが難しい場合は、竿を少しずつ縮めて手元に寄せてください。
ほぼ渓流釣り初挑戦の方がヤマメを釣る動画
画面中央右上の白い粒が毛針です。
この動画は滋賀県の姉川での記録です。
チョウチン毛針釣りの仕掛け
必要な道具はのべ竿、道糸、毛鉤という3つだけです。
竿は5メートルくらいの適当なのべ竿で十分です。
釣りをしている間に竿を出したり畳んだり、竿の消耗が激しい釣りだと思うので、1万円以下くらいで、壊れたときに落ち込まない金額の竿が良いと思います。
竿
▼ダイワ・リバティクラブ
実売価格6,000円~8,000円くらいで購入できます。
6メートル以上だと取り回しが難しく、3.5メートル以下だと魚に近づき過ぎるので、これくらいの長さがベストかなと思います。
ライン
50センチ~1.5メートルほど、ナイロンラインを結びます。アワセた瞬間に切れることがあるので、0.6~0.8号の太めのラインを僕は使っています。
細い方が自然に見せられるので、落ち着いてアワセられる方は、0.4号くらいが良いのでは無いでしょうか。
毛針
フライには浮くタイプ(ドライフライ)と沈むタイプ(ニンフ)がありますが、ドライフライを選んでください。
最初はカディス1種類だけで最初は問題ないと思います。サイズは14番が良いと思います。
もう少し毛鉤の種類を増やしたいという方は、以下のような順番で種類を増やしていくと良いでしょう。
- カディスの16番(小さめの毛針)
- カディスの12番(大きめの毛針)
- パラシュートの14番
- カディス14番の別カラー(白と黒など)
▼カディスの16番(小さめの毛針)
フロータント
毛針はしっかりと水上に浮いている方が見やすく、魚も騙しやすい気がします。
必須の道具ではありませんが、より効率よく釣って行きたい方にはドライシェイクを購入することをおすすめします。
濡れて浮きにくくなった毛針をドライシェイクの中に入れてシャカシャカ振ると、毛針がしっかり浮きます。
ケチな私はドライシェイク代をケチってタオルやヘチマのシートで吹いたり、全力で息を吹きかけたり、鼻の油を塗りつけたりしていましたが、あまり効果が無いので今ではドライシェイクは手放せなくなってしまいました。
【後編】チョウチン毛針で釣果を分ける「誘いと間合い」(恐れ多くも有料です)
チョウチン毛針釣りの強み
糸を短くすれば、ボサの周りでも釣りやすい
渓流釣りで好まれる餌釣り、フライフィッシング、ルアー釣りの全てが苦戦する藪が多い川でも、好きなところを狙いやすいという利点があります。特に草が生い茂る夏場に強みを発揮します。
もしその川に先行者が居ても、その方が踏み荒らしていない場所であれば、ヤマメやイワナが釣れるチャンスがあります。
風がある状態でも釣りやすい
エサ釣りやフライフィッシングは風があると極端に難易度が上がる釣りですが、チョウチン毛針釣りの場合風の有無をほとんど気にせず釣りができます。
目安で言うと、その地域の風速が5m/s以下であれば十分釣りが出来るでしょう。(エサ釣りでは3m/s以上だと私は苦労します)
チョウチン毛針釣りの弱み
本流ヤマメを釣りにくい
チョウチン毛針釣りは機動力を重視して5メートルほどの竿を使うので、それ以上遠いポイントのヤマメ・イワナを狙うことが難しくなります。
例えば川幅が太い本流域でヤマメを狙う場合には不適切な釣りと言えます。
極端に開けた川
自分が隠れる場所が無い、極端に開けた川でも釣ることが難しいです。
また、透明度が高ければ高いほど、アプローチに注意が必要なのは先述のとおりです。
濁っている状態
川が濁っていると魚が毛針を見つけられないのか、難易度が上がります。ただ、濁りが落ち着いてくると信じられないくらい多くの魚が反応することもあるので、ルアー釣りなど別の方法で時を過ごすと良いと思います。
引きが強いニジマス・ブラウンは対象外
軽い竿と短い糸で釣る方法なので、引きが強いニジマス・ブラウントラウト・サクラマス・シロザケなどは対象外と考えて良いと思います。
もちろん太い竿と糸でやれないことは無いと思いますが、その釣り方だとチョウチン毛針釣りのメリットが出ないので、フライフィッシングやルアーフィッシングで狙う方がベターでしょう。
まとめ
- 道具はのべ竿、糸、毛針だけ
- 毛針は流れに乗せるだけでOK
- 釣れなければ毛針のサイズを変えてみる
【後編】チョウチン毛針で釣果を分ける「誘いと間合い」(恐れ多くも有料です)