「椎葉には大物のエノハ(ヤマメ)が居る」
「しかも、うじょうじょいる」
「ヤマメを避けないと、川の水もすくえない」
そんな怪しい噂話を聞きつけて、椎葉の耳川の中でも最上流部に近い尾前にやって参りました。尾前川は大型のヤマメだけでなく、ダムから遡上するサクラマス(平家マス)が釣れるところとしても有名なんだそうです。
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【入渓ポイント】耳川本流
大きな縁には大型のヤマメが潜むのだと、誰かが言っていました。当てずっぽうに餌を投げ込んでみます。
これまで私は「魚の大きさにはこだわらない」「ヤマメの大きさに執着する奴は、人間のサイズが小さい」などと吹聴してきましたが、あっさり撤回したいと思います。
本当は大きいヤマメが釣りたい。尺越えが良い!というわけで、大物を是非とも狙ってみたいのであります。
どうすれば大物が釣れるのか、それは全くわかりませんが、たくさん釣れば尺が交じる。そんな気がする!
魚の数が多いようで、餌を入れればとりあえず反応してくれます。
続いて、もう少し大きなサイズが釣れました。
メジャーをあててみると、40センチ!
いや、違う。メジャーの基準が0でなく10センチスタートになっていました。スタート位置の違いに気がついてしまった自分を呪いつつ、測り直すと・・・29センチ。
「センチメートル」という誰かが定めた尺度にこだわるのはナンセンスだと繰り返してきた自分ですが、それは尺ヤマメを釣ったことがある人が言うべきことでしょう。よって、私は30センチ越えのヤマメを釣らなければいけません。
30センチということにならないかと、何度か測り直してみてもやはり29センチ。
伸びませんでした。
大きなヤマメを釣るコツが見えてきた気がします。淵の中でも餌がたくさん通りそうなところ、つまり太い流れが入ってくるところに定位しているのでは無いでしょうか。
いざ、餌を投げ込もう。おっ、魚らしき反応が!
パーマークのあるワカサギではないかと目を疑いました。これが私、釣れない男の実力です。
少し上流に移動します。
本流
水量は豊富な里川エリアです
田んぼで作業をしているおじちゃんが「大きいの釣れたか?」と両手を広げてジェスチャーで挨拶してくれ、それに私は片手の指2本を広げて返答しました。
かかしの顔面にリアルさは必要なのでしょうか。ちょっと怖い・・・。
* * *
その後、車で耳川上流の方に向かうと、道の真ん中でぶっ倒れている男性が居ます。
慌てて車から飛び降りようとしますが、よく見るとスヤスヤお昼寝をしているようです。
こんなとこで昼寝せんでも・・・。
耳川支流
川に橋がかかっており、そこに車を泊めて降りられました。魚が多いらしく、橋から見下ろすと餌を追っているヤマメが見えました。
この支流をさらに進むと野犬に取り囲まれることがあるそうなので、まだこの世でやり残したことがあるという方は止めておきましょう。
耳川支流の上流域には、もっと強烈に赤銅色のヤマメがいるのだそうです。
【釣りDQNが集う宿】民宿おまえ1泊2食6,500円
本物のDQNに会いたければ、どこに行けば良いのでしょうか?
「山谷の労働福祉センターかな」
「やっぱ西成の職安だろ」
「黒崎駅前のサラ金ビルも外せないね」
もし渓流釣りDQNに会いたければ、夏の尾前の釣り宿に行ってみましょう。
私が泊まった民宿おまえには、毎年東京から6時間以上かけてやってくる人、初日は餌採りしかしない強者、ヤマメを持ち帰るために大型の水槽を家から持参してくるベテランなど、常人ではない高純度の渓流病患者の巣窟となっており、そんな変態同士で食卓を囲む、この時間がなかなかに至福です。
民宿おまえでは菜豆腐など椎葉らしい食材を交えたウマい料理を出してくれ、店主が釣り情報も親切に教えてくれました。
こちらで「平家マス」と名付けられたサクラマスの長さを競うコンテストを企画しており、こちらは2014年覇者の山女太郎さんです。
60センチの大物をのべ竿で上げてしまうというのだから、すごいですね。
釣る対象はサクラマスにこだわっているのに、名前は「山女太郎」というこだわらなさが何とも絶妙な感じですね。
普通なら「桜 鱒二」とか、平家マスだから「閉経 真須美」にしても良い気がしますが、ダメですかね。