前日に漁協が無い内場川でなんとかアマゴを釣った翌日、およそ2週間ぶりくらいに雨が降りました。
晴れ続きだった間は、「今は渇水状態だけど、一雨くれば確実に大釣りができますよ」
と周囲に吹聴していたところに降った雨です。増水を喜ぶ一方で、
「マズイ・・・」
という気持ちもじわりと湧いて来ていました。なぜなら、釣果が伸びない責任をなすりつけていた水量問題が解決しつつあるため、どうにも言い訳の材料を見失ってしまったからです。
複雑な思いを抱えたまま、香川県の土器川に向います。土器川は香川県のページではアマゴの存在が記されていましたが、アマゴを指定魚種にはしていないので無料で釣りが可能です。
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土器川支流明神川・道の駅近く
先程はついつい弱音を吐いてしまいましたが、雨でほどよく水も増えているでしょうし、釣れる気がします。
最大の懸念である濁りも、全く出ていません。
増水によって落ちてきた陸上の昆虫を狙って、アマゴが水面を見ている可能性が高いと考え、チョウチン毛針釣りで挑みます。
しかし1時間も2時間も川を歩きながら毛針を流しますが、何の反応もありません。
アマゴがゴボッと飛び出した瞬間を後で見返してニンマリする予定で胸の位置にカメラを構えて動画まで撮影しているのに、カメラの前ではいつまで経っても何も起きません。
毛針で釣れないときの唯一の作戦である「毛針のサイズを変える」施策も、「いっそルアー釣りにしてみる」も成果を出すこと無く、早々と昼過ぎになってしまいました。
仕方がないので近くにあった美霞洞温泉公園をブラブラしつつ川の様子をうかがってみます。
美霞洞温泉公園
現在は温泉は取り壊され、公園から滝が見られるだけの場所です。
駐車場から細い坂道を徒歩で降って公園に入ろうとするのですが、私の目の前で坂を降っていく人影が2つあります。
どうやら中年の男女がイチャイチャしながらゆっくりと歩いているようです。
どうやら女性側が「下り坂が急で怖い」ということで、男性側にもたれかかっているようです。男性も「えっへん俺が守ってやる」とばかりに上機嫌の表情です(見てないですが)。
地面が雪で凍っている状況では無いのでもたれる必要など無いと思うのですが・・・中年のお2人にはまた別の銀世界が見えているのかもしれません。
うっかり追いついて彼らの世界を壊さないよう、さも用事ありげに植物を見たりしてゆっくり進む私なのでした。
公園から川をのぞくと大小の滝が連なっています。いかにも大きな魚がガツンと出てきそうだったのでルアーを投げてみましたが、やはり何の反応も見られませんでした。
さらに土器川の別の支流に移動します。
下福家川
釣り場近くに有形文化財である四足堂というお堂の跡がありました。その時のツイートです。
釣り場近くで見つけた文化財の四つ足堂。昭和30年頃まで、徳島から農耕地が多い香川に農繁期だけ牛をレンタルしており、その移動の際に峠で休憩した跡だとか。四つ足の牛や馬を解体処理する職人集団だった部落民を指して「四つ足」と呼ぶこともあったらしく、それとも関係しているのでしょうか。 pic.twitter.com/2LMCunneGx
— 釣れないニートの渓流釣りとほほ録 (@tsurenai_neet) April 28, 2021
穢多の人々を「四つ足」「四つ」などと読んでいたのは、四つ足の動物を処理していたからであるとも、えたの人々が人間以下の動物だと蔑視されていたからとも言われているそうです。
なのでこのお堂は「四つ足である牛馬と、四つ足(穢多)の人たちが休憩していたから」四つ足堂という名前になったのかもしれません(間違えている場合は是非ともご指摘ください)。
* * *
降り続く雨にも関わらず水の流れはか弱く、どうもアマゴが生息しているようには思えません。
水が深くなっているところを探して、毛針を浮かべてみます。
すると、期待せずに浮かべた毛針に魚が食いついてきました。
突然の来襲に心臓をバクバクさせながら魚を手元に納めてみます。
タカハヤドッキリでした。
アマゴだと期待していたのでしょう。ショックでピントが全く合っていません。
その後も上流を目指してウロウロしますが、竹が倒れていて歩きにくく、上流を目指すことを諦めてここで釣りを終了しました。
竿をしまい込んで、とぼとぼと伏し目がちに川沿いを歩いていると、珍しい花が群生しているのを見つけました。
中央が光り輝いているように見えるほど白く、なにか不思議な魔力を秘めているように見えます。
調べてみると四国や三重など一部の地域にしか生えない植物で、雪のように白く餅のように柔らかいことから雪餅草と呼ばれているそうです。
* * *
道の駅 エピアみかど
雨で体が冷えたので、近くの温泉施設へ入ります。
世紀をまたぐコピーライターである平賀源内も愛した湯だそう。
三頭峠に近いこの場所はかつて阿波(今の徳島)と讃岐(今の香川)を結ぶ通り道の上にあり、阿波から讃岐にある金比羅山を詣でに出かける人で賑わっていたそうです。
その地にある温泉は1762年に開かれた江戸での第5回薬品会(そんな会があったとは)に出品されたほどの名湯だそうです。
山越えで疲れた旅人がその温泉に立ち寄り、この場所を繁盛させたことは容易に想像がつきます。
また、道の駅に設置されている売店には地域の野菜や加工品が売られていました。
その一角に見覚えのある花が。
先程、川沿いで見かけた草ではありませんか。
私もついに食い扶持がなくなったら、山で花をとってきて金持ちらしい家々を回って雪餅草を売りつけて生活していこうと新たにアイディアを頂いたのでした。
【竿】ダイワリバティクラブ 5.3メートル
実売価格は5,000円~8,000円程度です。安いですが全く問題なく使えます。
【ライン】実売400円の安いライン0.8号
【毛針】サイズは14番くらいを使っています
チョウチン毛針釣りの方法と道具についてはこちらでまとめています。
チョウチン毛針釣りは簡単な道具と動作で楽しめるので、ルアー、フライ、テンカラなどで行き詰まった私のような釣り人にもってこいの方法です。