大阪駅から特急列車で鳥取を流れる千代川へ向います。
かつて同行者の邪魔をしながらアマゴを釣り上げた記憶がある岡山県のあわくら温泉を通り過ぎ、鳥取県へと向います。
ツイッターで自慢してやろうとわざとらしく書籍とサンドイッチで車窓を彩り、優雅な休日ぶってみます。
(リアルな声)駅弁は高いから257円のサンドイッチで我慢、
クラシックとか初めて聴いたぞ、
本も流行ってるから買ったけど難しすぎてクソ眠い、
早く釣りしたいけどなんかお腹痛い、、グチる友達もいないのでツイッターに書こう
— 釣れないニートの渓流釣りとほほ録 (@tsurenai_neet) May 22, 2021
背伸びをしてみたもののやはり私は私。
幸せは一向に訪れなかったため、ふて寝したまま現地に到着しました。
目次(スクロールします)
千代川支流新見川
アクセス | 鳥取市から45分 津山市、美作市から1時間 |
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対象魚 | イワナ |
遊漁券 | 年券:5500円 日釣:3,500円 |
管轄漁協 | 千代川漁協 |
入渓のしやすさ | ★★★★☆ |
歩きやすさ | ★★★★☆ |
魚の量 | ★★☆☆☆ |
魚のサイズ | 平均15㎝、最大25cm |
5月になり気温も上がってきたので、魚が水面に浮かぶ毛針に出てくる時期ではないかと考え、毛針を落としてみます。
川は多くのポイントで両サイドが護岸されており、自然保護主義者達の感情を逆なでする仕様になっています。
風情を解さない私は用水路のようになっている川からヤマメやイワナが飛び出しても喜びを見出だせるタイプで、こんなコンクリートだらけのこんな川でも、俄然やる気です。
チョウチン毛針釣りでは水の流れに合わせて竿先を動かしていく必要があります。流れに対して横に立っていれば竿の向きを変えるだけで対応できますが、この川のように、毛針に対して下流側に立つことになる直線系の川では、毛針が流れるのに合わせて竿をシュコシュコと縮める必要があります。
毛針を落として、シュコシュコ。
毛針を落として、シュコシュコ。
あぁ、めんどくさい!!!
誰だよ、護岸なんかしたやつは。
魚や自然の保護より、釣りにおける自らの快適度を優先してしまう私なのでした。
何度か魚の反応はありましたが毛針には掛からず、車へと戻ります。
道路上にはきれいな形で朽ち果てたカエルが、骨の形できれいにへばりついていました。
先程のポイントの上流に移動します。
途中、動物避けのものと思われる柵がありました。
千代川支流新見川上流
ちなみにここ智頭町は江戸時代から続く国内有数の伝統林業地なのだそうで、町の93%を森林が占めているのだそうです。
林道沿いを無数の杉が覆っていますが、川沿いには多様な樹木が見られました。
いったい何という樹木なのかは不明です。
先程と同じように毛針を浮かべ続けると、ようやくイワナが掛かりました。
イワナちゃんをどこに置いて愛でようかな、フフフ・・・と悩んでいる間に、さっさと逃げられてしまいました。
イワナが去った後で所在投げにフワフワ揺れる毛針と
「あ・・・」
という、死ぬ寸前の亀のような無念そうなおじさんの声が、哀愁を醸し出しています。
* * *
先程の、釣り上げたとも逃げられたとも言えるような一匹をなんとか忘れようと、必死に毛針を流し続けると、二匹目(と言い切って良いのか?)が掛かりました。
久しぶりに釣り上げたイワナはいつも釣り上げているアブラハヤやカワムツとは愛らしさの桁が違います。
もしも神様から、
「イワナ属かお前の家族、どちらか片方だけをこの世に残す」
と言われれば、私はさんざん悩んだ挙げ句に・・・
いや、答えは墓場まで持っていこう。人に聞かせることではありません。
昔から「言わなが華」とも言いますしね。
* * *
この日は曇天が続いていましたが、このイワナを釣った後、急に晴れ間が指してきました。
私の数少ない経験ですが「光が指してきた後には水面の毛針に反応する魚は増える」
という法則がある気がしています。もう2、3匹魚を追加して、お開きにしよう。
と欲張って毛針を落としてみますが、先程よりむしろ魚の反応は悪くなったようです。そして一度も魚の反応を見ることが出来ずそのまま納竿となりました。
自分の経験などなんのアテにもならないことを再確認いたしました。
この日は釣り場までのアクセスが良い智頭町に宿泊します。
【宿】ゲストハウス楽之(たのし)
ドミトリー1人4,000円の宿です。
ゲストハウス楽之はかつての備前街道に面した智頭宿にあります。鳥取藩が参勤交代の際に江戸へ向かう道中、最初に宿にしていたのがこの智頭宿だそうです。
通り沿いには当時の面影を残す建物がいくつか見られました。
今でも通り沿いには立派な建物や蔵が並んでおり、当時とても繁盛したことがうかがえます。
塩屋出店
智頭宿の代表的な建物である「塩屋出店」は、江戸時代に雑貨商を営んでいた名家で、明治以降もこの家からは村長や陸軍の主計局長を排出していることから、江戸時代にがっぽり稼いでその後も格式高い家として代々続いてきたものと思われます。
もしこの時代に私が生きていたら。商家を繁盛させた旦那として、商売を切り盛りしながら昼は大車輪の働きを見せ、夜は酒を片手に優雅に美女をはべらせる・・・。
などということはなく、お屋敷から出てきた栄養満点の糞尿を頂戴し、汗水たらして農村に売る。そのような生活をしていたことでしょう。
林業の町である智頭町らしく、ゲストハウスは杉の木を活かした内装になっています。
宿の1階はレストランになっています。
私は初日にうっかり注文した前菜の盛り合わせがあまりに美味しく、翌日と合わせて同じメニューを3回も注文してしまいました。
見た目通りに変なやつだと気づかれたことは間違い無いでしょう。
さて、翌日は同じく千代川支流の芹津渓谷などで渓流釣りをしました。