前日、一匹のヤマメと大量のアブラハヤを釣り上げた私は円山川の支流である八木川に入りました。
八木川の福定親水公園
渇水時にしてはしっかり水が流れているものの、何となくトラウトが居ない川のように見えます。理由はわずかに赤茶色っぽい水の色で、このような色の川は鉄分が多く繊細なトラウトより強靭なコイ科であるカワムツなどが多くなりやすいと人から教えてもらったことがあります。
毛針を落としたまま期待せずによそ見をしていると、どうやら魚が毛針を食っていたようです。カワムツでしょうか。
続いて、毛針を流して動かそうとした直前に魚が食ってきました。
大きめのイワナでした。
鉄分とかコイ科とか、不要な浅知恵を披露したことは水に流して下さい。
円山川にヤマメが放流されていることは知っていましたが、イワナが生息しているとは知りませんでした。ヤマメよりイワナが好きな私としては思わぬご褒美です。必死にイワナを撮影していると、うっかりカメラのキャップをうっかり水中に落としてしまい、流されて深さ50センチくらいのところに落ちてしまいました。それほど深くは無いものの、流れがあるためキャップがどこに沈んでいるのかわかりません。
カメラのレンズが傷ついたってどうってこと無いでしょう。後で調べたら中古で24,000円したのでどうでも良くないのですが、釣りをする時間を削るという選択肢は浮かばず、レンズを沈めたまま上流に釣り進みます。
すると、またもイワナが釣れました。両頬に傷のような黒い跡があります。
さて皆様、このイワナの顔の傷跡が醜いとお思いでしょうか?私はそうは思いません。
我々はつい若さをまるごと高く評価しがちです。しかし例えば多くの花が散り際に美しくなるように、我々人間はその傷やしわを美しいと気づいていないだけなのでは無いでしょうか?
と、わかったようなことを言ってしまいましたがこれも知人の受売りであり、葬式仏教に飼いならされたなまくら坊主が好みそうな講釈だとさえ思ってしまっています。それでも、先程のイワナが美しいと思うのは紛れもない事実です。
この日はイワナが水面をよく見ているのか、毛針にどんどん飛びついてきてくれます。
下の映像ではかなりダイナミックに毛針に飛びついてきたイワナが釣れました。
毛針で今日はもう十分釣りました(まだ3匹ですが)。
今の私ならルアーでも釣れるのでは無いでしょうか?魚が明らかに溜まっていそうな滝壺があったのでルアーを通してみると・・・思いどりに食ってきて、すぐにバレました。
もう一度投げるとやはり食ってきてバレて、また食ってきてバレてを4回ほど繰り返して結局一匹も釣り上げられませんでした。ルアーは私には難しいようです。
十分に釣りを楽しんだので駐車場へと引き返します。
魚が居そうなポイントをもう一度釣りながら川を降っていくと、先程カメラのレンズキャップを水中に落としたことを思い出しました。水中カメラを沈めると黒い円形のものが見つかったのでその下に足を滑り込ませると、うまく足の甲に乗せる事ができました。
あとは持ち上げるだけなのですが、ここからが大変です。水底は穏やかですが中層より上は流れがあるので、持ち上げても何度も足の甲から滑り落ちてしまいます。
今思えば浅瀬まで横にズラせば良かったのですがその発想にいたらず、水中片足もも上げ運動を繰り返すという、奇妙な動きを展開することになってしまいました。
何度目かのもも上げ運動でようやくレンズキャップを拾ったときには、魚を釣り上げた時よりも大きな声を上げて喜んでしまいました。
釣果よりも大事なキャップがあることを知った私は翌日、佐用川でヤマメを狙いました。