僕が中学生の頃、近所の小さな野池にあれほど大きなブラックバスがいるとは誰も思っていなかったようで、釣れたバスを見て周囲の釣り人は驚いていました。さらにブラックバスをブルーギルで釣ったという事実にも驚いていました。
そのときは、釣れたブルーギルがアシにからまって、水中で血を流して弱ってしまったのでした。それを何気なくこちらに引っ張っていると、コイのような大きな魚が目の前まで猛然と追いかけてきたのです。「見えている魚は釣れない」と思っていた少年は驚いておしっこをチビリそうになりました。(現在30歳になった私はおととい、うんこを漏らしました)
あれから時が経ち、大学生だった私は渓流釣りに挑戦していましたが、流れの中で繊細なヤマメを釣り上げることに苦労していました。あるとき川に降りると、大きなヤマメが2匹、堂々たる雰囲気でプールを泳ぎまわっていました。泳いでいるヤマメが見れるなんて!これは釣らずに帰れぬぞよ。
最初はこそこそと岩陰に隠れて餌を流していましたが、人間に慣れているのか見向きもしません。渓流釣りに少し慣れた今なら「釣れるわけない」と判断してそのポイントを捨てるのですが、経験が無かった当時の僕は目の前のヤマメを諦めることができず、こどものようにこだわってしまったのでした。
そんなときに、ブルーギルの血に我を忘れるブラックバスを思い出したのです。私は少し上流に移動してアブラハヤを釣り、少し血を出させて背中に針を付けて泳がせ釣りをすることにしました。一緒にいた友人は僕が「ついにヤケになってふざけ出した」と思ってがっかりしたそうです。
「ブラックバスとヤマメは違う」という気もしていたのですが、アブラハヤをプールの真ん中に投げ込んでみました。すると、泳ぎ始めてから2秒も経たないうちに、直前まで姿を隠していた黒い影がミサイルのように飛び出してきて・・・。
ちなみにあれから8年間渓流釣りをしていますが、泳がせ釣りをしたのはこれが最初で最後になりました。スレたヤマメも確実に釣れるかは補償できませんが、一度お試しください。