和歌山県を流れる有田川支流の修理川で美しいアマゴを手にした私は、勢いに乗っていました。私にも、案外アマゴが釣れるじゃないか、と。チョウチン毛針釣りでなく、ルアーでも今なら釣れるかもしれない。と、ここからはルアーで挑戦します。
ちなみに、調子に乗っていたという以外で、ルアーでも釣れそうだと思った根拠は特にありません。
有田川支流の西の川より
地図の地点に駐車スペースがあります。
渓流でルアー釣りをやるのは久しぶりなので、何を投げれば良いかわからないままミノーを投げます。
なかなか針に掛かりませんが、投げる度に魚の反応があります。これはいわゆる「入れ食い」というやつですね。やはりノッている男がルアーを投げると、魚の反応も違ってくるというものでしょうか。
そしてついに魚がヒットしました。そろ~っと手元まで引き寄せると・・・。
何のことはない、カワムツです。
この魚、アカムツやクロムツなどの美味しい魚と同じ「ムツ」という名前を戴いて置きながら、それを名乗るほどの覚悟が見当たりません。
なんとも言えない、ぼーっとした顔をしています。
高級魚でプライドが高いことで知られるノドグロ(アカムツ)やクロムツがこのカワムツと名前だけで言えば親戚筋に当たることを知れば、アカムツ・クロムツ連合軍による大規模なデモは避けられず、カワムツは為す術もないでしょう。
そんなリスクを抱えていることも知らず、次々とルアーに襲いかかってきます。
たまに「キュッキュッ」と音を立てて泣く姿を見るに、あるいは何かしらの危機を感じているのかもしれません。
彼らだってせっかく名付けられたからには、カワムツという名前に愛着だってあるでしょう。美味しいからと偉そうにしている海のムツにしっかり対抗して欲しい。水がわずかに湧き出るように、彼らを応援する気持ちが出てきました。
この川で釣りを始めてから30分間、ルアーを投げる度に多くの魚が追いかけてくる様を見て、私は無敵の状態、すなわち「マリオがスターを獲得した気分」になりました。しかし、そのスターはアマゴの美しい赤星ではなく、何のことはない、カワムツのでっかい追い星でした。
合掌。
それにしてもこのエリアにおけるカワムツの繁栄は、アメリカにおけるウォール街に匹敵するものがあります。アマゴはどこへ行ったのでしょう。
諦めずに釣り続けると、ついにアマゴが釣れました。
小さい・・・。これをアマゴと呼び、釣りブログに紹介しても問題は無いのでしょうか。
4センチほどのミノーとほぼ同じ大きさのアマゴです。
フックが口に刺さっていることに驚きました。
アマゴが居るということを知って勇気百倍の私はその後もルアーを投げ続けましたが、やはりカワムツの大繁殖を確認するだけでした。
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私が当日使った安物のルアータックル一覧です。あまり参考にされない方がよろしいかと思います。
【ロッド】ブラックバス用の安いルアー竿
【リール】1,000番の小さなリール
【ライン】6ポンドのナイロンライン
【ルアー①】リュウキ50シンキング
【ルアー②】スプーン・pure3.5g