同行者はこの日も2時半に起きて常呂の海岸に向かい、一匹だけシロザケを釣り上げてきました。
昨日、常呂の海岸で釣果が出ていたという情報はサケ釣りじいさんネットワークによって光の速度で拡散されたようで、スカスカだった海岸に、この日は前日の5倍程度の釣り人が来ていたとの情報でした。
どうやらサケ釣りの釣果は、日ごと時間ごとに変化する最新の釣果情報ネットワークのどの位置にいるかで決まってくるようで、その点で我々は現地に住む知人のサケ釣り中毒者からの緻密な情報に大いに助けられました。
海ではサケを自力で釣れず、北見の川ではウグイしか釣れなかった私は斜里川へ向かいます。同行者は温泉の休憩室で寝かしておき、一人で存分に釣らせて頂きます。
まずは6~8月にサクラマスが滝をジャンプする姿が見られることで有名なさくらの滝を覗きます。サクラマスのシーズンは外していますがコロナ自粛が明けつつある10月の週末です。
人がたくさんいたら嫌だなと駐車場に入ると・・・。
私の黒のレンタカー以外は1台も停まっていませんでした。貸し切り状態です。
魚の遡上も見られるかなとじっとにらんでいましたが、特に魚影を発見することはできませんでした。
足場には柵がされているので川沿いまでは出られませんが、一投だけ、ルアーを投げてみたいなという衝動に駆られてしまいます。
しかし同じような人がいるのでしょう、しっかり釘をさされています。
場所を変えます。
目次(スクロールします)
斜里川中流 さくらの滝近く
さくらの滝のやや下流側に、川まで降りられそうなところがありました。
10月なので水温は低く、木々も赤くなりつつあります。
今回の釣行では大きなニジマス(といっても40センチくらいあれば十分)を狙っているため、大きな魚に引っ張られた時にラインが出ない「のべ竿+毛針のチョウチン釣り」は封印し、大物とのやりとりに耐えうるルアー仕掛けで挑みます。
大きなニジマスの予感にドキドキしながらミノー、スプーン、スピナーなどを投げ込みますが、魚の反応すらありません。
そのうちに、明らかに大きな魚など潜んでいそうに無い細かいポイントにまでルアーを投げ込みますが、悲しいことに稚魚すら追いかけて来てくれません。
釣りを開始して1時間ほどしか経過していませんでしたが、すでに心はボキボキです。10センチのヤマメで良いから、釣りたい・・・。せめてウグイ以外の魚を釣りたい。
そこで、禁断の手法に手を出しました。
延べ竿です。
私が本来釣りたかった大きなニジマスが掛かればひとたまりもなく糸をぶっちぎって逃げていくでしょうが、どうせそんな魚は釣れないので大丈夫。
毛針を浮かべると、糸をちぎられる可能性をみじんも感じさせないヤマメが釣れてきました。
巨大な毛針を使っているように見えますが、さにあらず。普通サイズです。
その後も毛針を浮かべれば小さな魚が飛び出してくる状態です。
魚のサイズは小さいですが、何も釣れないもしくはウグイよりはだいぶマシです。
わざわざ北海道まで来て、10センチ前後の魚を釣って楽しいのか?プライドは無いのか?と思われそうですが、私の釣りにはプライドのカスすら残っていません。
それにしても魚の量はすさまじいらしく、私が踏み荒らした場所の近くにも関わらず、毛針を浮かべるとオショロコマが釣れてきました。
15センチに満たない魚に大満足させて頂き、次のポイントへと移動します。
止別川
止別川での釣り記録をアップしていたところ、止別川では河口だけでなく、全ての水域で釣りが禁止されているとの注意を受けました。
遠音別川・奥蘂別川・止別川では、全ての期間において全ての水産動物の採捕が禁止されています。
(北海道内水面漁業調整規則第47条に基づく保護水面の指定)
釣り場マップを削除し、記録についてはそのまま記載いたします。
* * *
釣り場についてウェーダーを履き、気合一発オナラをこくと、
「じゅわ」
っという感覚と、水っぽい音が聞こえてきました。
手で肛門の周辺をぬぐって臭いを確認してみると、手に付着した汁から強烈な異臭がします。
これはいわゆるうんこ汁なのでしょうか・・・。うんこ汁がパンツまで到達していないことをただ祈りつつ、まずは竿を出します。
川は細い水路のような流れと大きな流れ込み(淵)が交互に現れます。
さて、ここでも大物のニジマスなど狙う気はさらさらなく、最初から延べ竿を持ち出します。
毛針に小さなヤマメが食いつきました。
水は少し濁っており、私の汁とは異なるタイプの異臭も発していますが、釣れてきたヤマメは綺麗でした。
続いて淵に毛針を浮かべると、大きな魚が飛びつき、糸をガンガンを引っ張ります。
とんでもない大物が釣れたかとパニックにさえなりそうでしたが、釣り上げて見ると25センチに満たないニジマスでした。
おそらくルアー釣りであれば「あらあら、元気なニジマスだわ」とつぶやいて難なく釣り上げられていたでしょうが、私が手にしていたのは延べ竿です。
さらにラインは1メートルほどが結ばれているに過ぎず、無理に引っ張ればラインが切れてしまうので魚が暴れればそのままこちらもオタオタする仕掛けです。
私がなぜ北海道で大きなアメマスではなくニジマスが釣りたかったかと言えば、その強い引きを楽しみたいからに他なりません。
でも大きなニジマスが釣れないのであれば、思い切って魚の引きを倍増で楽しめる、貧弱な釣り道具に変えれば良いのです。
目標に到達しないのであれば、目標の水準を下げる。ごまかす。
営業成績トップが狙えないのなら空気を読まずに会社から一番早く帰る男を目指し、モテないとわかって以降は合コンでの狙いをいつも最下位の女性に絞りました。
ごまかしで十分に楽しめたので、今度はルアータックルに持ち替えると(毛針をやったりルアーをやったり、こういう釣り人が上達しないんでしょうね)イワナが掛かりました。
ここでも大きなニジマスを手にすることは有りませんでしたが、ヤマメ、イワナ、ニジマスと3種類の魚を釣れたので大満足です。
ニコニコしながら川から上がり、車に戻ると大急ぎでパンツをチェックします。
鼻をパンツスレスレまで近づけて臭いを嗅ぐと、おっさんの汗の臭いはしますが、幸いうんこの臭いは皆無でした。
「パンツまで到達していなかった!」
オショロコマを初めて釣った喜びと双璧をなす感慨を覚えながら宿へと向かいました。
お宿はユースホステル・清里イーハトーブ
宿泊先は止別川から30分ほどのところにあるユースホステルである清里イーハトーブに一泊3,000円ほどで宿泊しました。
ネットの口コミを見てみると、
- 宿のオーナーがとても親切
- 宿のオーナーが曲者で厄介
に真っ二つに分かれていましたが、我々は①のとても良い印象を持ちました。
宿は話し好きの旦那さんと物腰の柔らかい奥様の2人で運営されており、豪華な別荘のような作りの内装も綺麗です。
ユースホステルというと、北海道のえりも岬にあった、バリバリの木造で、トイレはボットンで、宿泊部屋とつながっている大広間でジンギスカンを焼きまくるので建物全体が脂でベタベタ、部屋の仲間で羊臭、そして宿から出る時には「行ってらっしゃ~い!!」とスタッフ総出で旗を持って見送られるので宿から見えない曲がり角の向こうでカーナビを入れる必要があるくらいのハードコミュニケーション・・・
そんな民宿仙庭を連想するので、清里イーハトーブの洗練された内装は「ユースホステル」という言い方がもったいないくらいに感じました。
今回は空いていたので私と友人それぞれが個室を使える形になったのも幸運でした。