竹田川龍ヶ鼻ダム上流
アクセス | 福井市から45分 金沢から1.5時間(高速) |
---|---|
対象魚 | イワナ |
遊漁券 | 年券:5,000円 日釣券:1,500円 現場売:2,000円 |
管轄漁協 | 竹田川漁業協同組合千代川漁協 |
入渓のしやすさ | ★★★★☆ |
歩きやすさ | ★☆☆☆☆ 途中から川幅が狭くなり、かなり歩きにくくなります |
魚の量 | ★★★★★ |
魚のサイズ | 30センチを越えるイワナが狙えるそうです |
この日は唯一の友人である実の兄と共に福井県の竹田川に向いました。
同じく兄と渓魚が居るかどうかもわからない川に釣りに行き、結局魚の反応を一度も得られず山登りだけを強いた格好になってしまったということが2週間ほど前にありました。
早くも西日本では明日から梅雨入りだそうです。明日以降で釣り計画を立てていた皆様には恐縮ですが、私はその前に抜け目なく晴天の下で渓流釣りに行って来ました。そしてボウズでした。行かなきゃ良かった。#六甲#アイスロード pic.twitter.com/BoUrJLsXVs
— 釣れないニートの渓流釣りとほほ録 (@tsurenai_neet) May 15, 2021
釣りに同行してくれる友人に乏しい私としては貴重な存在ゆえ、これ以上兄にボウズをこじらせ続けるわけには行きません。なんとか今回の釣りにやる気を持っていただくべく、当日の朝から扇動します。
「昨日は少し雨が降ったね。魚の活性も上がってるはず」
「朝の空気が温かいな。雨で水温が下がって魚の活性が下がるリスクは回避できたね」
などと、言っている本人すら嘘か真かわからない情報をでっち上げ、期待を無理やり高めさせて釣り場に向かいます。
毛針を浮かべると、なんと一箇所目で魚が食いついてきました。針には掛かりませんでしたが、どうやら釣りやすいポイントに来ているようです。
本日の幸せを確信しつつ釣り進むも、最初に毛針に食いついてくれた1匹目以降、全く魚の気配が無くなりました。
・・・。
煽りまくったあげく一箇所目で魚の反応があっただけにその後の沈黙は、運動会の後に校舎で1人過ごすかのようにもの寂しく、10時に開始した釣りを11時ころには納竿しそうな気分に包まれていました。
しかし11時頃、それまで曇っていた天気が突然晴れ出しました。
曇天が晴天に変わったときに毛針に反応が良くなった経験などアテにならないとは知っていながら
「晴れ間がさしてきたということは、これは釣れるぞ」
と声高らかに宣言します。
しかしその宣言も青空に吸い込まれたかのように効力が無く、釣れるどころか魚の姿すら見えないまま昼の12時を迎えました。
この頃には2人そろって釣りに飽きかけて、不思議な穴など見て過ごします。
これは流れの中で石がぐるぐる回って掘られた穴で、甌穴(おうけつ)と言うそうです。綺麗なまんまるに感動するフリをして時間をやり過ごします。
12時。
ついに魚が釣れる予兆を見つけることにも疲れ果て、昼飯に逃げ込みます。
もはや気分転換で自分の気持ちに訴える精神論しか頼れるところがありません。
* * *
言葉少なに、もそもそとコンビニおにぎりを食べてから釣りを再開します。
正直なところ私は全く釣れる気がしておらず、道路から川までの3メートルの坂を下るのも億劫になっています。
なんとか重い体を動かして兄が川面に落とした毛針を除いてみると、突然ガバっと魚が飛びつきました。
まさか釣れるとは思わず、2人で大慌てです。20センチほどあったので、我々にとってはかなり立派な獲物です。
続いて、先程釣れたポイントに近い場所で私も釣ることが出来ました。
当初、私は撮影だけのつもりで
「兄ちゃんが釣れればそれで良い!」
などと言っていましたが、釣り竿を握った瞬間に
「何が何でも釣ってやる」
とムキになり、小さな魚にも関わらず釣れた瞬間に大喜びしています。
さて、釣れたイワナの模様をしっかり見てみると、頭部に細かい模様が出ています。
私の怪しい記憶によると、1つ山を越えた滋賀の北部ではこのような模様は無く、中国地方のゴギや、新潟あたりのイワナに見られる特徴的な模様だったと思います。
その後イワナの遺伝系統に詳しい方に聞いてみると、この魚は側面に橙斑があるので、ゴギの中でも「日本海岩魚」と岩槻先生が呼んでいるグループの魚では無いかとのことでした。
学術的なことは全くわかりませんが、この地域に特有の天然イワナが備える模様である可能性が高いということでしょう。
ということは、ここはきっと漁協が放流してない天然イワナだけが息を潜めて交配してきた沢なのでしょう。
特別な川を見つけた気になって釣りを続けると、またしても小さなイワナが釣れました。
アワセが遅れたことを兄に指摘され、必死に否定している姿がまことに無様です。
釣れたイワナのエラが妙に目立っています。
これは通称「エラ見え」と呼ばれるイワナで、天然ものではなく養殖されたイワナで見られる特徴だそうです。
ということは、この川は天然ものなどではなく、立派に人の飯にありついてきたイワナが放流されている支流ということになるではないか・・・。
この事実を受け入れられず、イワナをあらゆる角度から見つめてみましたが、どの角度から見ても真っ赤なエラがこちらを見つめていました。
エラに圧倒されていると、上流から釣り人が降りてきました。
なんだ、秘境どころか釣り人もいるじゃないか・・・。
彼は上流で30センチ近いイワナを釣ったらしく、機嫌よく下流へと歩いていきました。
秘境感を奪われたあげくに大イワナ自慢だけを残されて不機嫌な私は、ムキになって上流を目指します。
川は途中から狭くて急になり、歩きにくくなってきました。
しかし険しい川を歩いたご褒美のように、垂直に線を入れた見事な地層が登場しました。
カメラを意識させてしまったようで、必要以上にプリっとさせた兄のケツが景色を台無しにしています。
死にものぐるいで上流へ釣り進むも、先程すれ違ったおじさんのせいか(言い訳)、一向にイワナが掛かりません。
我々素人の遡行技術ではこれ以上釣り上がるのは危険と判断し、この淵で納竿することにしました。
ルアーを投げてみると・・・
3匹目のアタックでようやくルアーに魚が掛かった満足から高笑いをしていたら、見事にバレました。
「食ってくれただけで満足!」と言い張っていますが、未練がましくこの後もルアーをしばらく投げ続けてしまいました。もちろん、二度とイワナは追いかけてきてくれませんでした。