伊豆には漁協に管理されておらず無料で渓流釣りが出来る河川がいくつかあるようだったので、3日掛けて戸田大川→小土肥大川→宇久須川と南下しながら渓流釣りを敢行いたしました。
初日はだるま山から戸田漁港にそそぐ戸田大川に入ります。
通常、無料で渓流釣りが出来る河川はその名前や情報がネット上に出ることは無いのですが(出すとクレームが頻発するため)、釣り人社のページではご丁寧に駐車スペースまで紹介してくれており、私もそれを鵜呑みにして川に入ります。
公式の放流は行われていないのでアマゴが死滅していても不思議では有りませんが、今もアマゴが居るのでしょうか。
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戸田饗の里公園脇の支流
まずは戸田大川の支流の一つに入ります。
釣り人社さんのページでは「本命は戸田大川本流」と書かれていましたが、本流に入っていきなり釣ってしまうのも趣が無いと、あえて期待できない河川から入ります。
水温はまだ7度で水面に浮かべた毛針に食いついてくる可能性は低いでしょう。しかし、だからこそ毛針を浮かせます。記念すべき今年最初の釣りですから、しばらくは釣れないくらいで良いのです。
2時間ほど毛針を流し続けたところで大きな滝が現れたため、ここで引き返します。
続いて、本流の上流部に入ります。
戸田大川本流上流部
竹やぶをかき分けて川に向かうと、家屋がありました。
ぽつんと一軒家かと思いましたが、竹の隙間を見てみると近隣に4つほどの家が立ち並んでいました。
現在は誰も使っていないようです。
家の柱に印を付けた子どもたちの身長について家族で話したり、「お父さんが玄関でうんこ漏らしたんだよね~」というお決まりのエピソードで笑い合うこともなく、誰にも顧みられず朽ちていくのでしょう。
誰にも思い出されることなく、ただ自分のブログを読みながら孤独死していく私の死に際を連想させます。
* * *
竹やぶをかき分けて川に降りて毛針を浮かべますが、やはり魚の反応はありません。
時間は午後2時で気温も水温も上がって来ました。そろそろ釣りたいと思いますが、巨大な堰堤に阻まれて釣り場を変更せざるを得ませんでした。
遂に本命ポイントに移動します。
達磨(だるま)橋
釣り人社さんのページで本命ポイントとされていたポイントから川に入ります。
渓流での釣り方についてですが、毛針を沈めたほうが釣れることが多いことも理解した上で、あえて毛針を浮かべて魚を釣ることにこだわってきました。
その理由は、魚が水面に飛び出してくる瞬間のドキドキを味わうだけではありません。魚に取って生死に関わる「水上の天敵に自分の体を見せる」というリスクを犯す行為そのものを、明日をも知れぬ生活を何故か選び取ってしまった自分自身に重ね合わせているのかもしれません。
しかし渓流釣り初日ではそんなことは言っていられません。
魚の躍動感とかドキドキとか自己投影とか、そんなものはうっちゃって毛針に浮きを合わせてみます。
これで毛針を水中に沈めれば、低活性なこの時期の魚も食ってきてくれるのではないでしょうか。
ちなみに毛針を沈めるときに使う、「専用のニンフフライ」を使うべきだと思いますが、そういった毛針を持ち合わせていないので適当な毛針を水で揉み込んで沈めてみます。
浮きと毛針さえあれば思った深さを流せるのだと思っていましたが、毛針と浮きがピンと張って毛針が水面に出てきたり、流れが早いところでは流れに引き込まれて浮きが役目を果たさなかったり、深いところに入れられません。
最終的には沈めた毛針で釣る自信がなくなり、ルアーロッドまで持ち出してしまいましたが、やはり魚を釣り上げることはできませんでした。
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釣れなかった帰り道は川から駐車スペースまでの距離が長く感じるものです。
車と私との間に断層が走っていて地面がズレたのではと思うほど、車が遠くにあります。
そもそもこの川にアマゴなど居なかったのでは無いでしょうか?つり人社の記事は、それを鵜呑みにしたバカをがっかりさせるためだけの意地が悪いステマ記事だったのか?
などと機嫌悪く足元を見て河原を歩いていると、小魚が動きました。
カワムツかなにかの稚魚でしょうか?
かすかに縦線のようなものが見えます。
水中カメラを入れてみると、アマゴの稚魚であることがわかりました。
映像はgoproで撮影しています。
放流がない河川なのでアマゴが居なくなった可能性も考えていましたが、稚魚が居るということは親のアマゴが育っており、この近くで産卵したということでしょう。つり人社さん、勝手に悪徳業者扱いをしてすみませんでした。
さらに驚いたのは、30秒のところで群れの一匹が流れてくる虫を見つけて水面まで飛び出したことです。気がついていませんでしたが、気温が上がって小さな羽虫が飛ぶようになっていたようです。
であれば毛針を沈めるのではなく、ルアーでもなく、もしかしたら普通に毛針を浮かべていた方が良かったのでは無いでしょうか。
一匹の稚魚の動きがさらに私を混乱に陥れ、初日を終了しました。
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瞽女観音
瞽女(ごぜ)とは盲目の女旅芸人のことです。
三味線に歌をつけて演奏しながら各地を転々として収入を得て生活していた集団で、娯楽が無い地方では歓迎されたものの昭和30年頃には姿を消したそうです。
そんな瞽女のある集団がこの伊豆の峠で大雪に遭い、凍えて亡くなったことからこの地に瞽女観音が建てられたのだそうです。目が見えず、移動をして稼がないと生きていけない彼女たちにとって、大雪だから引き返すという判断は難しかったのかもしれません。
私とて、釣らないと生きてはいけません。移動するしかありません。瞽女観音に頭を下げ、翌日は本日入った戸田大川より南側を流れる小土肥大川に入りました。
>> 翌日は戸田大川の南にある小土肥大川でアマゴを狙いました