大きなイトウに逃げられて小魚だけをしっかり釣り上げた私は、最終日を女満別空港に近い網走川で迎えました。
同行している中森くんは大学の時の先輩で、釣り好きが多い我々水産学科の中でもとりわけ釣りに対する執念が強い人でした。みんなで飲みに行くよりも、1人で釣り。仲間たちとサッカーをするより、時合が来ているなら釣り。旅行より釣り。女より夜釣り。
早起きが嫌いな私は旅行先でも7~8時間ほど寝た後で釣りに動き出すのが習慣ですが、女性より魚に興奮する彼には通用しません。翌日は朝6時に起きて釣りに行くというのでそれに付き合い、6時前に目覚ましをかけて就寝しました。
* * *
朝6時、集合場所のロビーで待機していますが、中森くんの姿は無く、部屋からも準備しているような音が聞こえません。6時ちょうどに電話をしてしまうと「起きてましたよ~」と言われる可能性があるのであえて5分ほど遅らせてモーニングコールで叩き起こします。
「自分から6時と指定しておいて~、寝坊しちゃうんですね~、先輩♪」
嫌味を浴びせるという生きがいを手に入れたことで喜びに浸っていましたが、嫌な予感がお腹のあたりを襲ってきまた。便意です。ここで私が便意に負けては寝坊をした彼を責める醍醐味を味わえないと、その意識を遠くに飛ばそうと念じましたが敢え無く敗れ去り、最終的にトイレで私が出発を待たせることになってしまいました。
網走川とチミケップ川合流点
気温が5度に満たない川沿いでルアーを投げ込みますが、魚の反応はなく、釣れてくるのは大量に川に入り込んでいる枯れ葉ばかりです。
一方の中森くんはアメマスを早々に何匹か釣り上げたようです。結局うんこで出発時間を遅らせた私に嫌味を言うでもなく、ただ黙って助手席でナビをしてくれる先輩には魚たちも優しいのでしょうか。
複数のアメマスに続いて、さらにニジマスも釣りあげたようですっています。
彼に釣り方を聞いてみると、5gではなく3.5gなどの小さなスプーンを投げ込んで、ゆっくり引いてくるのだとか。
「もっと釣りを練習せなあかんな」
と言われても、ぐうの音も出ません。
最終日のボウズは受け入れがたいと、巻き方や投げる位置まで中森くんの真似をしますが一向に釣れそうな気配がありません。
すると視線の端で、水しぶきが上がるのが見えました。どうやら浅瀬をシロザケが遡上しているようです。
これまで深場に留まっているシロザケは見たことがありますが、体を水上に晒しながら遡上している途中のものは見たことが無かったので、釣りそっちのけでシロザケを追いかけてみます。
どうにかこうにか動画か写真に納められないかと追い回したものの、気がつくとシロザケはどこかに消え、そしてルアーを投げるべきポイントも踏み荒らしてしまっており、ひとり呆然と立ち尽くしたところで飛行機の時間が迫っており、タイムアップとなりました。
ま、いいや。ヒメマス釣れたし良いや。水中動画も撮れたしさ。宿の変な店員にも会えたし。八角も美味しかったしセイコーマートで買った安物のワインだって美味しかった。
最終日に釣れないという無念を打ち消すために過去の些細な栄光にスポットを当てることで何とか自分を守ることに成功し、今回の北海道釣行を終えました。
今年の釣りは今日で終了になりそうですが、12月1日からは琵琶湖の流入河川でビワマスを釣ることが出来るので、予定が調整できれば再チャレンジしたいと思います。
【ロッド】安くてコンパクトなルアー竿
2023年以降は↓を使っています。
【リール】2000番のリール
【ライン】PEライン0.6号(無くても大丈夫です)
【ライン(リーダー)】8ポンドのナイロンライン
【ルアー①】シルバークリークミノー50シンキング
【ルアー②】スプーン・pure3.5g
【ルアー③】スプーン・D-Sライン5g