神戸から車で1時間強、姫路からだと40分ほどで到着する寺前エリアに来ました。
【入渓ポイント】神崎郡神河町寺前近く、市川C&R区間の最上流部から
この周辺はNPO法人がニジマスを放流しているエリアで、入漁料は不要ですが募金を募るという形で運営しているそうです。>>神河C&Rとは
釣り方はフライフィッシングに限定されており、バーブレスフックの使用が義務付けられています。
私はフライフィッシングという高尚な釣りができないので、同行者の釣りを見守ります。
カワムツに遊んで頂いただけでニジマスらしき存在はついぞ見かけませんでした。
このあたりは標高も低いため、ニジマスも夏を越せていないのかもしれません。
小田原川上小田消防団近く
我々3人はここから川に入りました。私と兄は下流に、知人である山崎さん(仮)は上流に向かいます。この後、パトカー5台が出動する大騒動になるとも知らず。
寺前漁協が釣具を没収する狙いは何か
現場券を売らずに釣具没収というのは、何か欲しい竿でもあるのでしょうか。
変化があり良いポイントが続きます
入渓ポイントより下流はなだらかな渓相ですが、上流はアップダウンがある良い雰囲気です。
この川はかなり大きなアマゴがいるらしいです。身体の半分しか見ていないのでわかりませんが、結構デカイのが飛び出してきました。
しかし、そんな記憶もかすれてしまうほどの行方不明騒動を起こしてしまいました。山崎さんと我々兄弟で川の上流と下流で分かれた後の集合場所で出会えずに同行者とはぐれ、パトカー5台と警察官6名がこの田舎に大集合する事態になりました。
同行者との集合時間の15時が過ぎ、16時になっても音沙汰が無く、暗くなる前にと17時まで川沿いを歩いて捜索するも、痕跡すら伺えませんでした。
最初の方は一緒に行動していた兄と冗談を言いながら探していたものの、徐々に我々の余裕も無くなっていきます。
おかしいぞ、時間にルーズな人では無かったはずだ。川は比較的平坦でしたが、山崎さんはウェーダーを履いていなかったので石で滑っている可能性もあります。
しかもはぐれた知人はそれまで不登校で柏木君以外に友達が居なかった兄を変えてくれた恩人です。
兄は警察から尋ねられたときも生年月日から住所までスラスラ言えるほど、気持ち悪いほど慕っていた相手でした。兄も私も文字通り半ベソになっており、視界がどんどんぼやけていきます。
これ以上暗くなると捜索が難しいと思い、17時14分に警察に連絡すると30分後に最初のパトカーが到着し、行方不明者の服装や身体的な特徴について質問を受けます。
警察から「家族に状況だけ説明しておいた方が」と言われ、山崎さんが車に忘れていった携帯で彼の自宅に電話を入れると娘さんの元気な声が。なるだけ心配させないようにと兄が
「ちょっと川で連絡がつかなくてね、ハハハ」
と説明してから警察官に電話を代わると、低いトーンで
「今はまだはっきりしたことはわからないので、悲観する必要はありませんよ。もちろん楽観視して良い状況ではないですが・・・」
と、切羽詰まった口調になっています。
突然警察から電話が入ってこんな話を聞いた奥様は、葬式の段取りや彼のご両親への説明まで想像したと言います。
知人は既に50歳で水や食料などは持っていなかったことや、ちょうど同じ年の1月に近くの山で遭難死事故も発生していたため、その後聞いたところでは警察も最悪の事態は想定していたようです。翌朝一番に警察犬も使って捜索出来るよう、山崎さんの匂いのついた物を綺麗な袋に集めて保管しておくようにとの指示もありました。
そんなことをしている間にもどんどん暗くなっていき、19時30分にふた手に分かれて捜索しようと皆が足を動かした瞬間、山崎さんが残していった携帯に奥様から「主人から電話があった」と連絡が入りました。
山崎さんは僕らに置いて行かれたと勘違いし、10キロ下流の寺前駅まで歩いて行き、これから電車で帰ろうとしていたそうです。
突然帰宅してはいけないと思って、公衆電話から奥様に連絡を入れたのだそうです。
捜索願いを出されて死を覚悟されたおじさんは、炎天下で1日渓流釣りをした後に10キロ歩いてピンピンしている、この世で最も元気な50歳だったのです。何台もパトカーとすれ違うのを見て「この街には随分パトカーが多いんだな~」と思ったんだとか・・・。
そもそもなぜ我々が合流出来なかったかというと、山崎さんは自分が釣ったアマゴを我々に見せたかったらしく、集合地点である駐車スペースの近くの川辺でアマゴを飼いながら我々の登場を待っていたとのことでした。
そして彼の想像では、兄と僕が喧嘩になり、僕に川に突き落とされた兄の頭から出血、慌てた僕が山崎さんへの連絡は後回しで兄を病院に連れて行ったと考えていたとのこと。その妄想に怒り狂った山崎さんは自分のスマホや着替えも放置して一人で10キロを歩き続けたのだとか。
凄まじい妄想力に、為す術無しです。
何はともあれ笑い話で終了しましたが、驚いたのは兵庫県警の皆様が非常に迅速に集まって捜索のための段取りを進めていただいたことと、彼らがどこかレクリエーション気分で盛り上がっているように見えたことでした。
今回お世話になった兵庫県警のために、私を除く兵庫県在住者2人にはたくさん納税して頂くこととします。
市川最上流域の黒川渓谷周辺から
小さなヤマメだけを拝んで、今回の釣りはめでたく終了です。
皆様もお気をつけください。
2018年夏の同じ場所での渓流釣り記録はこちらです。今度は残念ながら、誰も遭難していません。
現地で使った毛針タックル
【竿】ダイワリバティクラブ 5.3メートル
実売価格は5,000円~8,000円程度です。安いですが全く問題なく使えます。
【ライン】実売400円の安いライン0.8号
【毛針】サイズは14番くらいを使っています
チョウチン毛針釣りの方法と道具についてはこちらでまとめています。
チョウチン毛針釣りは簡単な道具と動作で楽しめるので、ルアー、フライ、テンカラなどで行き詰まった私のような釣り人にもってこいの方法です。