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山口県錦川はダム地獄の清流
山口県の清流として名高い錦川は、なんと言ってもダム天国(地獄)なのであります。菅野ダム、向道ダム、生美ダムだけに飽きたらず、今でも平瀬ダムを絶賛建設中だ。
「どうしてこんなにダムを作るんですか?」
「そこに川があるからだよ、坊や」
川があればダムを作る。ダムを作ればお金がザクザク入ってくるという理論により、この川のダム工事が止むことは無いようで、国の補助金攻撃とそれによる地域住民の思考停止の構図が見事に浮かび上がるのです。
錦町周辺では「暮らしを守る 平瀬ダム」なんて看板も見かけましたが、福島で見かけた「原子力 明るい未来のエネルギー」(>>2014年福島釣行記)と匂い立つもののあまりの近さに感動を禁じえません。教科書に書かれた「楽しい算数」的な欺瞞に見られるように、無意味に前向きな言葉には用心したいものです。
【入渓ポイント】錦川支流の葉の内川・鹿野サンマートの横
サンマートから橋を渡った地点から川に入れます。観測所の100メートルほど上流に小さな堰堤があり、アマゴが釣れました。
まだ水温は低いようで、ディープダイバーをダウンでゆっくり巻いているときに掛かりました。
こちらは、スレで掛かっていたアマゴです。
しかし、「ルアーを巻いていたら偶然に引っかかってしまった」と考えるのは魂の修行が不足していると言えるでしょう。自意識を守ることに周到な私は、「食べに来た結果、掛かったのだ。当然。」と考える次第であります。
気分よく川から上がると、そこには田んぼが広がっていました。しかもタイミング悪く、田んぼで作業をしている爺さんがいるではありませんか。
細いあぜ道を歩いて行かないといけないので「気まずいな」と思いながらも開き直って「こんにちはー!」と挨拶をしてみたら、爺さんは満面の笑顔でこたえてくれた。こそ泥だって、思い切り次第ってことですね。
【入渓ポイント】錦川支流の葉の内川・喫茶「さくや」近くから
川幅2メートルほどで狭く、水も少ない。「ゴギが出そうな景色なんじゃないの?」と思うが、いかんせん釣ったことないのでわからない。
しかし、出るのは小さなアマゴばかり。
ミノーをダウンで泳がせていると、釣れました。
キャストが上手く出来ないので、足元に落として水流で流すというおよそいい加減な釣り方ですが、どうぞご贔屓に。
変わったパーマーク模様のアマゴです。
当日のお宿は錦町の小川旅館・素泊3,500円
「平瀬ダム作ってるじゃろ?うちも毎日満室よ~」
と上機嫌の女将。自然を破壊しようが税金の無駄遣いであろうが、金さえ入れば良いのである。それは僕も同じですからどうぞご安心ください。駐車場を見れば、山口だけでなく大阪・京都ナンバーの車もたくさん止まっており、公共投資という名の言わば「ホームレス用炊き出し」にありついているのは地域の皆様だけではない模様です。
ダム労働者の皆様、我々が一生懸命働いて収めた税金で、デカイだけで大して役にも立たないダムを作ってくれて本当にありがとうね。税金もらってパチンコで遊んでるだけの生活保護不正受給者より環境破壊してるだけ罪は重いなんて声もあるけど、僕はそんなこと思ってないよ。
4月12日、食堂の朝は刑務所のよう
工事関係者たちの朝食風景は、どこか刑務所を思わせる重い雰囲気だ。会話するでもなく、テレビを観るでもなく、淡々と白米とおかずを胃袋に詰め込んでいる。
そんな労働者を横目に、こちらも大仕事である。ゴギを釣らねばならない。自然破壊はお互い様なのであります。
【入渓ポイント】錦川水系木谷川の木谷峡谷駐車スペースから入渓
水が大変きれいなためか、虫が少ない。
虫を捕獲するために自ら釣りのポイントを破壊する始末です。
淵に餌を通すと、アマゴが釣れました。
周囲には桜の花が落ちていました。
こちらも、食ってるかどうかわからないままに釣れていた一匹。ヒレ・パーマーク・赤点の入り方の全てが美しい。
写真を見て「あれ?」と思った読者の方、その通りです。さすがに鋭いですね。
今日も絶賛、飲まれております。
しかし、タマタマ釣れるというのは釈然としない気分であります。ベテランの釣り人であれば「あえて合わせを遅らせたんですよね」なんて顔をするのだろうか。いまだその精神の高みに達することが出来ない僕であります。
8匹ほどアマゴが釣れたが、ゴギはいない。もっと上流を目指さねば。
昼食は紫陽花で 大盛りチャーハン600円
昼食のためにスナックに入らなければいけない地方の疲弊ぶりと、600円でこの大盛り具合に驚く。こちらのご飯は全体的にべちょっとしている気がするけど、美味いぞ。
【ちょっと寄り道】
昼間に錦町を散策。錦町駅近くの広瀬という地域には、昭和30年頃には映画館があったらしい。
自動車が普及するまでは、地方も立派に経済が回っていたのだ。しかし、今では税金に依存したダム工事やら産廃施設、原発など国からの施しでしか維持できなくなっているのは産業のない地方の宿命になっています。
かつては希望の象徴だった家電屋さんが、今ではゴミ置き場になっているのは何とも皮肉。
にしても、こんなとこに銀行の支店を維持するなんて大したもんだ。僕がこの村の人なら、真っ先にこの銀行に勤めてみんなの貯金残高を把握し、その上で交友関係を築く際の優先順位の参考資料にするだろう。
【入渓ポイント】木谷峡駐車場のさらに上流から
木谷峡の上流の小西というあたりから入ったがまたもヤマメのみ。これはパーマークが丸かった。
オモリの付替えを面倒がって大きなままで釣りしてたら、3時間で7本くらい針をなくしてしまいました。それにしても、ゴギに会いにわざわざ山口まで来ているのに、全く音沙汰無しなんて水臭いじゃないかと不満をたれつつ、翌日に持ち越しとなった。
>> 翌日に幻のゴギとご対面に1人ではしゃぎ回る