【禁漁直前】静岡の無漁協河川で鼻曲りのオスアマゴ探し

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静岡は全国的にも珍しく10月末まで渓流釣りが出来ると教わり、静岡に向かいました。

連日熊被害のニュースが続いていますが、あくまで私は「熊より怖いのは水難と遭難」だと言う理論を提唱してきました。熊については正しい知識さえあれば、過剰に恐れる心配は無いと考えており、熊に詳しい人ほどニュースを見ても冷静でいる印象です。

しかし

「熊が胴体をバラバラに」
「イオンに熊居座り」

などの衝撃的な文字面で私の理論はいとも簡単に崩壊し、人生で初めて熊スプレーを購入しました。

 

吹き付ける動きの練習も万全にし、静岡の漁協が無い河川に入ります。熊で実験したという記載は特に見当たりませんでしたが、本当に効くのかな・・・。

 

* * *

静岡の遊漁券無料の河川へ

川に降り立ち美しい空気に包まれながら、大事なものを忘れたことに気がつきました。スプレーは持ってきたのに、熊鈴を忘れてきてしまいました。

熊は非常に臆病な動物らしく、先に人間の存在を気づかせることが必須のようですが、その重要ツールを忘れました。鈴を持たずにスプレーだけで山に入るなど、自ら接近戦に持ち込んでスプレーの効果を検証しに行っているようなものではないか。

しかし今から鈴を買いに行くのも面倒なので、声でアピールする戦略に移行します。熊の研究者が映像で「ホー!ホー!」と高い声で叫んで追い払っていたのを真似しながら移動します。

「ホー!ホー・・・。ゴホン!!」

しかし唐突に人間に出会った時にちょっと恥ずかしいので、咳払いも混ぜることで過剰に怖がっているわけではない私をアピールします。

 

済んだ水の中にカメラを沈めてみると、アマゴが泳いでいます。しかもどうやらかなり数が多い様子。放流が無いのにこんなにアマゴが増えるんですね。

最近は内水面漁協の閉鎖も続いているようですが、公共事業の補填(工事で川が濁ったから遊漁券収入がもらえない)に大半が依存する内水面漁協の多くは存在価値が無いでしょう。来年ももっともっと、閉鎖されれば良いな。

アマゴの目の前に毛針を落としてみます

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毛針が水上に浮いている時にはアマゴは反応しませんでしたが、半分沈んだ毛針を見て驚いて逃げて行きました。毛針は浮かせるならしっかり浮いていた方が虫らしく見えると聞いたことがありますが、そういうことでしょうか?

あまり虫も飛んでおらず、アマゴも積極的に水面を見ている雰囲気はありませんが、よくやくアマゴが釣れました。

毛針にアマゴが飛び出す時、毛針に近づく段階で魚の姿が見えることは稀で、私の感覚では95%くらいは食った後で水面や毛針が動くことで魚の存在に気づく印象です。

姿を外的に見せることはリスクなので、バレないように隠れながら水面に出るのでしょう。しかしこのアマゴは姿を見せながらすごい勢いで毛針に飛びつきました。

 

最後の釣行でこんなにスレていないアマゴを見られるなんて、幸せです。

わずかに1匹のアマゴを釣り上げただけですが妙に満足して安宿に移動します。

とても感じの良いマスターが「他にお客さんが居ないので」という理由で、特別に大部屋に通してくれました。個室の予定が4人部屋で大宴会になりそうです(1人で)。

趣がある素敵な宿だなと壁を見てみると、不思議なものが目に入ります。

 

誰のものかわからない洋服が掛かったままになっています。

誰かがたまたま忘れたという数では無さそうですし「ずっとずっとここで部屋を見つめ続けてきました」という確信めいた表情をまとっています。

非常に地味ですが、結構怖いです。

 

【2日目】静岡の別の無料河川へ

昨日とは別の静岡の無漁協河川に入ります。昨日と同様、戸惑いながらも大声で熊を追い払いつつ川を歩いていると、浅瀬にアマゴが姿を見せています。アマゴが姿をさらしているのは産卵モードになっている証拠でしょう。パーマーク部分が帯のように見えるのもこの時期ならではです。

すると後ろから、小さいアマゴ達の倍くらいの大きさのアマゴが颯爽と登場しました。

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このオスの大アマゴは周囲のアマゴたちを威嚇して蹴散らしてる様子で、オラオラしているのが陸上からもはっきりわかります。中学生の時のサッカー部や野球部の男の子がクラスの中でオラついている様子を思い出します。

小さい方のアマゴは特に争うことはなく順当に?手なづけられることで一定の秩序が保たれているようで、和田敦子さんの「さるやま」という曲を思い出します。

さるやまのおさるは 序列が大好きで

はじめて会ってすぐ 相手を推し量る

このさるの立場や 稼ぎはどれくらい

長年のカンで 値踏みができたら

ポジション決められ ひと安心

上にはへつらい 下には横柄

態度は豹変 さるなのに

 

序列を作るのが得意なのは霊長類だけでは無いのですね。

周囲のアマゴにマウントを取ることにご執心のオスアマゴ(タケシと命名)は食事処では無さそうなので餌には反応しないかと思われましたが、水面の羽虫を何度か追う動きをしています。

食う気があるのかなと、こちらの姿を岩で隠しながら毛針を流しますが、全く反応してくれません。この短時間で食欲からオラ欲に切り替わったのでしょうか?確かに当時のスクールカースト上位の人たちは忙しそうだった。

食欲よりオラ欲を刺激してくれるのではと、ルアーに切り替えると、たまにルアーを見にくるものの、次期に警戒して奥に引っ込んでしまいました。

明日は違う河川で釣りをする予定ですが、このタケシの存在感が気になってしまい、翌日も同じ河川の同じポイントに向かうことにしました。

 

【3日目】前日と同じ河川で大アマゴ探し

タケシの縄張りを見に行くと、昨日と同じところで他の雄アマゴを蹴散らしています。

昨日はタケシから自分の姿が丸見えだったので、今日は極力石や木に隠れ(たつもり)でアプローチします。タケシの頭があるであろうところに毛針を何度か流してみますが、食いつきません。こちらが隠れているのでタケシが反応したかはわかりませんが、毛針では難しいのでしょう。

せっかくなのでタケシの姿を水中から捉えておきたいと思い、カメラを水に沈めて待機します。カメラを置く時に警戒させてしまっていますが、20分もすれば姿を表してくれるでしょうか。

問題はスマホがオフラインの状態で時間を潰す知的スタミナがもはや自分に無いことです。例えばこれからの人生について考えようとするも、全く良いイメージが浮かびません。ポカポカして良い天気だな、などと思っていると思考はどうでも良いことに流れて行き、あっという間に30分ほどが経過し、そろそろバッテリーが切れる頃でしょう。

カメラを回収して映像を確認しますが、残念ながらカメラの角度が悪く、アマゴは見つけられません。

再度カメラを沈めて、また30分待機です。

 

30分・・・。

 

カメラを回収している間に思索のテーマが増えているはずもなく、またも山の中で1人、考えるべきテーマについて考えに耽ります。誰もお題を出してくれないので、木を見たり樹皮をむいてみたり。樹皮をぺりぺりするのって気持ち良いよね。

アマゴの動画を確認してみると、たまに外に現れて周囲を威嚇しつつ、必ず同じ岩陰に隠れているのが見えました。

もしかして、今もこの足元の岩の間に隠れてるのでは・・・?

冷たい水に手を突っ込んでみると、指先にヌルっとした魚の感覚が当たりました。しかし入口が狭くなっているので触れられるのは指先だけで、手で掴むことは出来ません。頭のサイズから、タケシで間違いないでしょう。

タケシは私の手の隙間から逃げるでもなくやはり岩の奥に身を潜めているので出入り口は一箇所しか無いのだろうと、念の為尻尾側に手を入れてみると、手を入れられるくらいの大きなスペースが空いています。

 

???

 

例えるなら空間が非対称の砂時計を隣に倒し、広い空間に尻尾が出ているような状態です。

なぜ後ろに下がって尻尾側の大きな空間に頭を向けて逃げてしまわないのでしょうか?

あくまで私の想像ですが、特にアマゴやヤマメは狭いところに頭を入れたりする習慣が少なく、水の流れが強いところで生活しているので、ヒレを上手く使って後ろに下がる機能が退化しているのでは無いでしょうか。

また、くびれの位置でターン出来るほどタケシの体は小さくなく、逃げにくい状況になってしまったのでしょう。

左手で尻尾をつかんで軽く押し出し、頭を右手に突っ込む形で捕まえます。体高があるので右手にすっぽりハマり、人生で初めてアマゴを手づかみすることに成功しました。

静岡無漁協河川の大アマゴ

 

「俺にも捕れた!」

という感動と

「こんなので良いのか・・・」

という奇妙な感情が入り混じります。

今まで渓流魚を手づかみするという挑戦はほとんどして来ませんでしたが、浅瀬で隠れ家さえわかれば案外チャンスがあるのかもしれません。陸上からの捕獲なので、両手と口で3匹の鯉を同時に捕らえたと言う伝説の漁師「鯉取りまぁしゃん」のように素潜りの技術も必要ありません。

 

 

今年も立派なアマゴやイワナを釣ることは出来ませんでしたが、最後に手づかみ出来たので上出来の一年だったと位置づけることが出来るでしょうか。今年も順調にアホでした。

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