前日に神戸でアマゴを釣り上げた私は、この日も前日と同じ川に入りました。
昨日綺麗な魚が釣れたのがよほど嬉しかったのでしょうか。コンビニで昼食の調達はしたものの、飲み物を買い忘れて来てしまいました。
川の水は一見とても綺麗で、飲み水にしても良いように見えます。しかし、狐に住み着く寄生虫であるエキノコックスが含まれている水を飲んでしまった場合、かなり重篤な症状が出ることもあるとか。
しかし、お茶だけを買いにコンビニまで戻れば1時間もロスしてしまいます。
時間とお金をケチって、思い切ってごくごく飲んでみます。
この先はまだ上流まで山歩きも可能らしく、上流で神戸在住の老夫婦(おじいさんは元銀行の支店長クラス)がニコニコ並んで
「一緒に立ちションなんて、あの頃を思い出すね」
「ほんとですねぇ」
などと言いながら尿を足している可能性はゼロではありませんが、老夫婦の笑顔のイメージを振り切って、一気に飲み干してみます。
・・・。
冷たくて、んまい!
やはり神戸の高級住宅地に住む元銀行員の老夫婦は、良いものを食べているからおしっこも芳醇なのでしょう。
* * *
喉が潤ったところで、水中を覗き込んでみます。
昨日同様に魚影は濃いようで、アマゴがプールを回遊しているのが目視できます。
中央下のアマゴに気を取られていましたが、左側にも2匹のアマゴが居ました(PC画面で、設定から画質を上げないと見えないかもしれません)。
水中観察を始めてわかったことは、アマゴには
- 底にべったり張り付いている
- 底から離れることがある
の2つの状態があることがわかります。底に張り付いている①は水面で毛針を落とそうが水面を叩こうが、気にするそぶりもありませんが、②のアマゴであれば水面に浮かべた毛針で釣り上げるチャンスが有るように思います。
この動画のアマゴ↓は底に居つつも自分より上のものにも反応しているようだったので、毛針を流してみました。
水面の毛針に突撃してきましたが、針には掛かりませんでした。食べるのを失敗したのでしょうか?
水面まで飛び出した後も警戒して隠れてはいないので、再度毛針を流しましたが2度と毛針には反応してくれませんでした。
今落ち着いて考えてみれば、さっさと諦めずに毛針のサイズや色を変えてみれば良かったのかもしれません。
続いて、同じように画面にアマゴを捉えられたので、毛針を流してみます。
食わないだろうなと毛針を流したところ、なんと食ってきました。
これは毛針が口に入ったようですが、アワセ方が悪かったのでしょうか、針掛かりしませんでした。さらにアワセに違和感を感じたのか、岩陰に隠れてしまいました。
さらに映像をよく見ると、毛針に食ってきたアマゴの横に並んでいた、別のアマゴまで驚いて隠れてしまっています。
1匹のアマゴに警戒させただけで、近くのアマゴまでこんな感じで伝染していくんですね、勉強になります。
撮影ばかりやっていて1匹も釣れていないことに気がついた私は、カメラを放り投げて釣りに集中します。
1時間ほど、毛針には飛び出すものの釣り上げられない時間が続きましたが、なんとかアマゴが釣れました。
パーマークが丸くて、2列で、ツヤツヤしていて綺麗な魚体に感動しつつ、帰路につきます。
* * *
バスで街に戻ってくると、昨日と同じ定食屋に入ります。
昨日はうっかりカメラを川に忘れ、1時間かけて闇夜に捜し物に行くことになりましたが、今日は忘れ物は何もありません。綺麗な魚が釣れた幸せを噛み締めながら、ご飯を食べて帰るだけです。
定食を注文すると、配膳に来たバイトの方が手をすべらせたのか、私の股間に大胆にも味噌汁をぶっかけました。
「だ、大丈夫ですか?!」
と聞かれましたが、熱い味噌汁を足にかけられて大丈夫な人などいるのでしょうか。
(大丈夫です。私、味噌汁は足から戴く方なのですよ。)と言う人はいないでしょう。
「えぇ、だ、大丈夫です・・・。」
気が弱く紙タオルで味噌汁をぬぐうだけで何も言い出せませんでしたが、やはりお会計はまけてくれるかもしれません。
わずかな期待を胸にしたり顔でレジに近づくと、
「先程はすみませんでした。1,100円です」
と、普通にお勘定されてしまいました。
期待した分だけさらに損した気持ちになり、パンツまで味噌汁が染みて風が冷たい股間とともに、とぼとぼと帰宅するのでした。