湧別川の丸瀬布でニジマス釣り【23年7月北海道釣行②】

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ラテン男たちにもてあそばれた翌日は、昨日に近い丸瀬布の釣り場に入りました。

川に入る準備をしていると、ダニエル徳山が何やら持ってきました。

キンキンに冷えたウィダーインゼリーです。

釣り場で体を冷やせるものを持っていきたいけれど、私のような貧乏性がわざわざ買わないという、この場で頂けるものの中で最も嬉しいいただきものです。

なんと気の利いた人なのでしょうか。彼はマイペースな男だと決めつけていた私を叱りつけてやりたい気分です。

さらに彼はご丁寧に熊スプレーまで、私の分を用意してくれていたようです。

使い方を聞いてみると

「よくわかりません」と。

・・・。

「多分ストッパーを外してトリガーを引くのだと思います」と言っていましたが、ストッパーをどう外してどのように引き金を引くのか、瞬間的には判断できませんでした。

緊急事態に折り好くストッパーを外せたとして、噴射口がどちらかもわからない状態で食らわした結果、熊さえ驚きの自爆テロが行われる可能性もあります。

もしくは電波が入り、落ち着いて検索できるところまで熊さんに待機して頂き、You Tubeで実演動画を見ながら熊にぶっかけさせていただくのでしょうか。

使いようが無い熊スプレーとダニエルと共に、川に入ります。

 

ダニエルが目の前のポイントにミノーを投げると、なんと一投目で大きなニジマスを掛けて、ラインを切られてしまいました。こんなことは滅多にないことです。今日は何かが起こるかもしれません。

私もルアーを投げていると小さなニジマスが掛かりました。昨日は小さなニジマスで喜んでいましたが、二日目はそうはいきません。近所で釣れるようなニジマスを釣るのではなく、北海道ならではの大きなニジマスを釣るのです。

 

続いて、目の前にかなり深い淵が現れたのでスプーンを投げて底付近で漂わせていると、比較的大きなニジマスが掛かりました。

 

あえなくラインをぶっちぎられてしまいました。

「ラインをぶっちぎられた」などと書くとかなり大きなニジマスが釣れたように思えますが、サイズは40センチに満たない位で、この程度の魚にラインを切られるべテランなど、私だけではないでしょうか。

もしかしたらドラグを締めすぎてラインを切られてしまったのかもしれないと思い、少しドラグを緩めて釣りをします。これまではドラグのことすら考えたことが無かったので、釣りで小さな工夫ができたことに大きな喜びを感じる、釣り歴25年の初心者です。

小さなニジマスを釣りながら上流に釣り進んでいくと、深さがある、まさに大きなニジマスが居そうなポイントに着きました。

スプーンを投げてふわふわ漂わせていたら、今度は先程より明らかに大きな魚が食いつきました。しかし今度はドラグがゆるすぎたのかしっかりフッキングできていなかったようです。私とニジマスのランデブーは1秒足らずで終了し、ニジマスは「あいつとは何もありませんでした」という顔をして、川底へと姿を消しました。

 

あちらを立てればこちらが立たず。こんな人生を長いこと続けてきました。ダニエルに目をやると、彼は水辺ではなく河原で足元ばかり見ています。何をしているのか聞いてみると、黒曜石と言う石を拾っているのだとか。

 

左の黒曜石を割ると、右のような黒い断面が見えます

 

黒曜石とは
北海道の白滝から十勝を南北に結んだエリアはかつてプレートの境目になっており、沈み込んだプレートの影響でマグマが発生し、それが噴火した火山が周辺にいくつも存在していました。その漏れ出したマグマの塊が黒曜石になり、およそ1~2万年前の縄文時代にロシア方面から渡ってきたオホーツク人に刃物や槍として使われました。(すべて白滝ジオパークで学びました)

 

ダニ「是非、持って帰ってください」

と、黒曜石をうやうやしく献上してくれた彼に言いたいのは、私は旅行者だということです。レンタカー屋から空港、空港から自宅までの大荷物になぜさらに黒曜石で重量を加えないといけないのでしょうか。

冗談かと思いましたが、彼は窒息するほど籠に虫を詰め込んで喜んでいる小学生のごとく、黒曜石を拾っては自分のベストのポケットをパンパンにしています。どうやら彼は本気で多量の石を持って帰ろうとしています。

ダニ「シカの角を磨いて部屋に飾っていたところ、妻に勝手に捨てられました。」

と言っていましたが、このペースであれやこれやと拾って飾っていたら、さすがに捨てるでしょうね。きっと彼が爺さんになったら落ち葉からギザ十まで集めているはずです。

 

ではどうやって黒曜石を刃物にしていたのだろうと言う話になり、でたらめに割ってみたところできれいな刃物が出来上がりました。

黒曜石

尖った面を草に添えると、見事にスパっと来れました。

2人で顔を見合わせて「縄文人もきっとこうやって刃物にしていたんだ!」「すごい発見ですね!」と大盛りあがりしていましたが、現地を離れてパソコンの前に座ってみると、何が面白いのかよく解りません。

結局それ以上特筆すべき釣果も無く、釣りを終了します。

 

* * *

 

今日のランチは彼が用意してくれているとか。期待せずに待機していると、羊と牛の肉がたっぷり準備されていました。

 

 

外で焼いて食べれば徳用のウインナーでも美味しくなるのに、高級な国産の羊と牛と来たら、マズいわけがありません。彼はこの日のために肉をタレに漬け込んでくれていたようです。

こんなことなら、俺が買った日本酒だとかおちょこだとか、文句を言うんじゃなかった・・・。すまない。

おかずだけでなく、ご飯もその場で炊いたものを用意してくれているようです。一口食べてみると・・・

 

ガチッ

 

と音がしそうなくらいに米がカチカチで、忍者の非常食のような仕上がりです。

どのように炊いたのか聞いてみると、バーナーではなく固形燃料を燃やして炊いたのだそうです。

ダニ「いつもお米1~1.5合に対して固形燃料一つなのですが、今回はお米2合に燃料一つだったので、足りなかったようです」

米を増やしたのだから水も増やす必要があり、すると火力もその分必要になる気がしますが、そのあたりは計算に入れていなかったようで、やはり期待を裏切らない男です。ちなみに彼は不眠に悩まされていて睡眠薬も使っているようですが、こんな大雑把な不眠症は世界でも稀な症例ではないでしょうか。

結局米は一口も食べられませんでしたが、肉の旨さが圧倒的だったので文句はなく、楽しいランチを味わいました。

 

* * *

 

昼から釣りをしようと車を動かしていると、前が見えないほどの大雨が叩きつけてきました。雨雲レーダーを見ると、北海道ではほぼ私達が居る上空だけ分厚い雨雲が覆っているようです。

同行者の文句ばかり言っている私が悪いのかと思いましたが、そうなるとウイダーからランチまで用意しておいて文句ばかり言われている彼の方まで雨に打たれている理由がわかりません。ひとまず雨雲がしばらく来ない予報になっている留辺蘂川の上流に移動しました。

 

留辺蘂川上流

 

川に入ったところに2メートル以上の深さがある淵があり、2人で並んで底を攻めて行きます。

すると2人揃って同じようなところで根掛かりをしてしまいました。彼は早々に諦めてラインを切って次のポイントに移動していきましたた、貧乏性であり、近くに釣具屋が無くルアーを補充できない私は、ムキになってルアーを外そうと、上流に行ったり、下流に行ったり、また上流に行ったり下流に行ったり。

昨日から今日にかけては釣りよりむしろ地球との格闘に心血を注いじている気がします。

もし針が川底の何かに刺さっているのであれば取れないと思い、水中カメラを突っ込んで対象物を確認してみますが、どこに引っかかっているのかわかりません。結局上流に下流にと右往左往していると、ルアーの方も私が不憫になったのか、手元に戻ってきてくれました。

魚が釣れた時と同じくらいに、嬉しい・・・。

先に進んでいるダニエルの方を見ると、半ば溺れそうになりながら川に突進しています。

留辺蘂川

 

川は見た目以上に流れが強く、私より圧倒的に勇猛な彼がこけてしまう可能性は十分考えられるので、少々危なっかしい彼に対して私がブレーキを踏んであげないといけません。

私のルアーには魚が食ってきませんが、彼はいつのまにか30センチほどのニジマスを釣ったようです。実際はとてもうらやましいですが、

「30センチほどのニジマスじゃ嬉しくないですよね」

という演技をして、自分の尊厳を守りきります。

* * *

その後すっかり雨は止みましたが、遠くの方で雷の音が聞こえてきました。こちらでは雨は降っていないので気づかないふりをして釣りをしていると、ダニエルが

「もし上流で雨が降っているのであれば、危険なサインですよ」

と言っています。何を大げさなと雨雲レーダーを見てみると、狙いすましたかのように我々の上流で強い雨が降っているようです。これ以上釣りを続けるのは困難だと言うことになり、釣りを終了することになりました。

先ほどまで「しっかり者の私がおっちょこちょいな彼をカバーしよう」と思っていたはずでしたが、そう誓った30分後には彼に助けてもらう羽目になっていました。

これまでの人生でも、私はどちらかと言えばしっかり者だという自覚だったのですが、もしかするとそう思っているのは自分だけで、実際にはみんなから一方的に介護されていたのかもしれません。

そう言えば幼稚園の頃の記憶では、集団行動が出来ず先生の言うことも無視しがちだった私は担任の先生からも明らかに嫌がられており、お遊戯会にすら出してもらえませんでした。一方で「3時のおやつだ!」と言いながらアスファルトを舐めるサルのような男の子「ヤーザム」はお遊戯会でしっかり振る舞っているのを見て、「ぼくはこのままでは生きていけないのではないか」と三角座りで1人怯えていたあの時を明確に思い出しました。

 

* * *

 

雨を避けるように車に向かっていると、そう言えばダニが身につけていたランディングネットがありません。どうしたのかと尋ねると、

「昨日、川に置いてきてしまったみたいです」

と、「金魚に餌をやるのを忘れちゃいました」という温度感で告げられました。あらゆる釣具を旅行先の釣り場に忘れてきた実績がある彼からすると、そう驚くようなことでも無いのでしょう。

ネットを失くしても尚、アンダルシアの太陽のように爽快な彼の笑顔とともに、曇天模様の下を車へと駆け込みました。

翌日は彼と解散して1人で、再度丸瀬布で釣りをしました。

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