前日、遠軽のバーで当地の歴史を浅く学んだ我々は翌日、遠軽の上流に有る湧別川に向かいました。湧別川は本流の他に大きな支流である支湧別川という河川がありどちらに入るか迷ったのですが、そういえばかつて現地の知人に北海道でおすすめの河川を聞いたところ、
「シユウベ・・・」
という名前を出したのを思い出しました。
その時彼は、私が節操の無い釣りブロガーであり、釣り場情報を与えればその釣り場をWEB上で公開されてしまうことに気がついたのか、漫画のワンシーンのように
「しまった」
という顔をしたあと、その後うまく話を支湧別川から遠いところに移行していき、釣り場の話はうやむやに葬られてしまいました。
しかし、こちとら無節操ブロガーです。非常にリアルな彼の反応をしっかり記憶しており、
「大物を釣り上げて私に釣り場を半端に隠したことを後悔させよう」
と意気込んで支湧別川に入りました。
支湧別川
私はミノーを、同行者がスプーンを投げると次々とニジマスが掛かってきます。
同行者も当初は支湧別川のポテンシャルを疑っていましたが、開始10分で「なかなか良い川やな」とご機嫌です。やはり北海道の知人が隠そうとした楽園がここであることは、本当だったのでしょう。
しかし天気も良く、濁りも無く最高の雰囲気・・・と思えたのも開始から2時間ほどで、太陽が高くなると同時に魚の反応が無くなってきました。
友「全然良い川と違うやん」
私「タヌキにまんまとやられましたね」
結局はヒントをくれた現地の友人に文句を言いつつ、釣り場を変更しました。
川から上がって牧場の脇を横切っていると、陽気なじいさん2人を乗せた車が我々の横に停まりました。
爺「釣れたか?」
私「小さいのがいくつか」
爺「そうか、ここは良い川だからな!ガハハ!・
爺「上流の方は◎△$♪×¥○&%#!◎△$♪×¥♪×¥○&%#?!!!!!ガハハハハ!!!!ヒーヒヒ~!!!!」
私「ハハハ」
何を言ったか全く聞き取れませんでしたが、爺さんたちは何やら面白いことを言ったらしく、大爆笑のまま車を走らせていきました。
湧別川
駐車スペースの前にいきなり良さそうな流れ込みがあります。そこに上流からミノーを投げ込むと、40センチほどと思われるニジマスが掛かりましたが、すぐにラインを切られてしまいました。
7月に北海道でニジマスを狙った時にも何度も繰り返した失敗をまたやらかしてしまった私に同行者が声をかけてくれます。
友「単純にもう少しラインを太くした方が良いんじゃないかな?」
大したサイズでも無いのにラインを切られるといういつもの光景に同行者はからかっても来ません。
ラインを結び直して上流に向かうと、この日一番の大場所と思われる流れ込みで同行者が待っていてくれました。
友「釣って良いよ」
同行者に譲って頂いた大場所で気持ちよくルアーを投げ込むと、手元に違和感が走りました。PEラインがトラブルを起こしており、ほどこうとすればするほどごちゃごちゃと毛細血管のように入り組んで行きます。
またしてもラインを結び直そうと座り込んで道具を漁りますが、予備のラインを車の中に忘れてきたようです。
同行者からリーダーまで頂戴することになってしまい、立場もありません。
友「ほな俺釣ってくるよ」
結局この大場所でも大きなニジマスを釣ることは出来ず、私も同行者も塩焼きサイズのニジマスしか釣れません。
ちなみに私は先程40センチほどのニジマスを掛けたとき、ミノーを下流側に向かって投げる方法を採用していました。今日はこの釣り方が当たるのかと思ってそれ以降も同じ釣り方で狙っていると同行者から
「なんとかのひとつ覚えかよ」
と指摘されます。彼いわく、ミノーを下流に投げて釣る方法(ダウン)は深さの調整がほとんどミノー頼みであり、根掛かりが少なく、また根掛かりしてもすぐに外れる釣り方であり
「初心者向けの簡単な釣り方で、面白くない」
とのこと。なので彼はあえてミノーをダウンで引く方法はほとんど採用しないらしく、まずは他の方法で釣ることで腕を磨きながら釣果を上げたいと考えるのだとか。なるほど、頭を使いながら自分でルアーを動かして釣る楽しさを考えれば確かにスプーンの方が面白いかもしれません。
そんなウンチクを垂れている彼の方も私と同様に塩焼きサイズのニジマスしか釣っていません。
2人揃って小さなニジマスしか釣れないというのは精神的に心地良いなと安心していると、私の前方にいる同行者の竿が大きくしなっています。
近づいてみると、足元には40センチほどのニジマスが横たわっていました。
大物とは言えませんが、しっかりした魚体はよく竿を絞り込んでいました。
どんな方法で釣ったのかと尋ねる私に、彼は満面の笑みで振り返りながら
「ミノー。ダウンで(笑)」
と答えていました。
私の目と口は全開になったまましばらく塞がりませんでした。
* * *
その後、同行者がまたしても立派なニジマスを釣り上げていました。
私の手の平をメジャー代わりに当ててサイズ測定しますが、彼の満足度を可能な限り下げるべく、いつもより大きく手を開いてサイズ測定します。逆鯖読みの結果「35センチ」と認定しておきました。
さらに間違えた四捨五入を使って「30センチ前後の魚ごときで満足してるんじゃないか」と同行者にただすと、「まだまだ」と言いつつ
友「このサイズを鬼怒川で釣っても嬉しくないけど、北海道なら嬉しいわ」
とのことで、やはりしっかり喜んでいる様子でした。
* * *
夕暮れが近付いてきたので駐車スペースに戻りますが、車の横に到着したときにはまだ薄明かりがあったので、
私「10分だけ!」
と言い残して、先程40センチほどのニジマスをバラした流れ込みに入ります。
数時間前に盛大に魚をバラしたポイントで釣れるはず無いだろうと思っていましたが、偶然竿に着いていたスプーンを投げるとニジマスが釣れました。
35センチくらいはあるでしょうか。
やはり自分の手の平を当ててニジマスの長さを測定しましたが、この時の私の手の平は先程より明らかに力なく開いているように見えました。
翌日はオホーツク方面の河川で同行者がイトウを釣り上げました。