九州からはるばる滋賀に渓流釣りにやってきたものの、見事に丸坊主をカマした友人に鱒を見せてご機嫌を取るべく、針江の生水にやってきました。
針江の生水とは滋賀県の西にある水郷の町で、街中の家庭が湧き水を利用して生活しているんだそうです。各家庭には「かばた(下の写真)」とよばれる湧き水を利用した台所のようなものがあり、ここで食器を洗ったりしていたんだそうです。
湧き水を利用した生活にそれほど興味があるわけではなく、鱒の顔を見たい一心で役場が主催するツアーに参加致しました。
ネットで見たところ、かばたの中にはニジマスやイワナを飼っているところがあるのだそうで、自宅で、しかもタダで鱒を飼育するという夢のような話に釣られて90分で1,000円のツアーに申込んだのでした。
ツアーは7人ほどの年配男女を中心とした構成でスタートしました。
かばたで使った湧き水は水路に流れ出て、ここを泳ぐアユやゴリ、ニゴイなどを育んでいるんだそうです。
いや、アユやコイの話は良い。鱒を早く見せてくれ!
とじれていると、次に見学するかばたにはニジマスやイワナが飼育されているとのこと。全員を押しのけてかばたをのぞき込みます。
湧き水は真夏でも17℃ほどにしか上昇しないことから、イワナもヤマメも飼育できそうです。しかし、思っていたよりもニジマスやイワナの数が少ないのが気になります。
「おばちゃん、ニジマスもイワナも少ないんですね」
「あ、そういえばこの前のバーベキューで。」
「焼いちゃったんですか?」
「焼きましたね。美味しかったみたいですよ。」
食べるのか・・・。もちろんかばたの魚は飼育されている方の所有物なんでしょうから私がとやかく言うことは無いのですが。食べちゃうのか・・・。もっと見たかった!
ツアーの途中で淡水魚の惣菜を扱うお店に寄ります。無料で試食をしていると何となく買わざるを得ない状況になる、お決まりのやつです。私は突然阿呆のように口をポカンと空けて虚空を見つめるという荒業によってこれを回避しましたが、他のオトナな参加者様は全員買いたくもないアユやらワカサギの佃煮を買っていました。
ツアーを終えて役場を見ていると、針江地区を見学する人向けのメッセージが書かれていました。
ここは観光地ではありません。
針江区内に見知らぬ方がおられることに、子どもやその親が敏感になっています。
ツアーを組んで観光地として軽く売り出しておきながら、「観光地ではありません」とは、スカートを思い切り短くしておきながら階段で必死にパンツを隠す女子校生のようなダブルスタンダードを感じます。
きっと観光地化することで儲けている、一部の商売上手に対する地元民のやっかみが湧き水のごとく噴出しているのでしょう。
というわけで大満足のツアー、読者様も一度いかがでしょうか。