福井でヤマメ(アマゴ)を釣った翌日は、石川県内の鱒が居るのか居ないのかわからない無漁協の河川に向かいました。前日釣り上げたのがヤマメだったので、こちらの事情ではございますが、本日はイワナが釣りたい気分です。
水量としてはヤマメやイワナが生息してもおかしくない環境に見えますが、毛針を浮かべてもルアーを通しても、つれない表情で寂しく私の元に戻ってきます。
あまりにも魚の反応が返って来ないので、魚を釣る自信が無くなってしまいました。
そう言えば小さい頃から何かを突き詰めて続けることが出来ず、それゆえ結果が出ないので中途半端に投げ出しては言い訳をする。友人に弟子入りして、真剣にFXの勉強をすると言っていたのはいつの頃だったでしょうか。
1時間ほどで釣りを諦めて、カメラを水中に入れて魚の所在を確認し出しました。
棒に付けた水中カメラを使って撮影します。
そう言えば昔の同僚は巨大なコンサル会社でパートナーという役員クラス?になってポルシェを買ったと言っており、また別の友人は転職先が上場して2億円ほどの含み益を手に入れたと言っていました。
一方の私は、石川県の人里離れた川のほとりに居ます。魚の姿を明確にとらえるために、深さが有るところにカメラを向けて腕を伸ばして、1,2,3とカウント。少しカメラを入れる角度を変えて、また目一杯腕を伸ばして1,2,3。例えば死ぬ時に「あぁ、あの時間は素晴らしかったな」と思い出す走馬灯ライブラリに入ることも無く、また誰かから羨ましがられることも一切無い、無為な時を半口を開けながら過ごしています。
モニターで動画をチェックすると、カメラの隅の方で動くものが見えました。
おっとりした動きはおそらく、イワナでしょう。その動く物体の端には白い線が見えましたが、おそらくイワナの胸鰭か腹鰭の白い模様と思われます。
私が大好きな鱒が居ることが確信出来たので、ここからは釣りに集中できます。
釣れたのはヤマメでした。
一匹しか釣れませんでしたが、水中カメラには何匹もヤマメが映り込んでいました。イワナこそ釣れませんでしたが、水が少なく堰堤にも寸断されている貧しい河川にヤマメやイワナが居着いていることに感動です。
* * *
宿に戻って水中カメラの映像を大画面で見てみると、驚くべきことが起きていました。わたしが現地でgoproの小さなモニターで見た時に確かに
「イワナである」
と断定したそれは、どう見てもカニでした。
イワナとカニを間違えるとはどういうことでしょうか。間違え方の酷さで言えば、母親とロバート・デ・ニーロを見間違えるよりも幅があるミスです。
カニの動きが素早すぎたのかと何度か動画を再生しましたが、やはりカニらしい速度で歩いています。
会社が上場したとか世田谷にでっかい家を建てたとか言っている連中は今夜、どんな店でどんな酒を飲んでいるのでしょうか。次回彼らに会った時には、小さな河川でカニをイワナと間違えるような私の日々を自慢してやろうと思います。
* * *
この日筆者がチョウチン毛針釣りで使った道具です。
実績が乏しい釣り人ですので、あまり参考にされない方がよろしいかと思います。
【竿】シマノ天平
【ライン】実売400円の安いライン0.8号
【毛針】サイズは14番くらいを使っています
チョウチン毛針釣りの方法と道具についてはこちらでまとめています。
チョウチン毛針釣りは簡単な道具と動作で楽しめるので、ルアー、フライ、テンカラなどで行き詰まった私のような釣り人にもってこいの方法です。