福井県の嶺北における渓流釣り場としては九頭竜川や日野川が勇名です。
一方、福井市の西側にある丹生山地は各河川が小さく地味なので渓流釣り場としてはほとんど注目されておらず、漁協もほとんど設定されていません。
しかし山の標高は高いところでは600メートル以上あるようなので、ヤマメやイワナが棲息しているかもしれないと思い、釣り竿とわずかな希望を胸に丹生山地を目指しました。
でも私は釣れなくても粘れる根性のある釣り人ではありません。早々に放流がある九頭竜川や日野川に逃げ込むような予感がします・・・。
福井駅まで送迎してくれるガッツレンタカー(レンタカーチェーンでは最も安いので愛用)を利用し、高須川を目指します。
高須川
赤マークの地点に駐車し、安全に川に降りられます。
さぁこれから釣りだと言うのに、竿を出す前からなにやら吐き気がしてきます。
そういえば、この日から日除けのために帽子をハットにしていたのでした。
私は体のサイズのわりに頭がデカく、帽子が頭に入っていないので無意識に紐を強く結んでいたようです。そのため、紐が首の動脈を圧迫して酸欠のような状態になっていたようです。
紐をゆるめると、世界がバラ色になるかのように一気に楽になりました。
おっさんになって、未だに幼稚園児のようなミスを繰り出しています。
* * *
気を取り直して竿を出しますが、全然反応がありません。
前日に福井周辺は大変な豪雨だったようで水もかなり濁っています。(釣り当日の天気ばかり見ていましたが、その前の天気も見ないとダメですよね。釣り歴20年にして、今気が付きました。)
大きな岩の上を水が滑っていきます。
上流に行っても水はあるので諦めるわけにも行かずどんどん登って行きますが、景色が怪しい感じに。
スギの木ががっつり川に浸っています。
後で林業関係の方に教えて頂いたところでは、杉は湿地に植えることが多いがさすがに川の中に植えることは無いと。おそらく大雨で川の流れが変わってこのようなことになっているのでしょう。
ということは、このあたりは普段はほとんど水が無いエリアということになり、魚など居るはずも無いでしょう。
変わった光景だなぁとは思いましたが、魚が居るはずない川に一生懸命竿を伸ばしていた当時の私、あぁ悲しや。
三本木川
続いて高須川の南にある三本木川に移動します。こちらも川には遊漁券が設定されていません。
途中から舗装されていない道路になります。轍が深くなってるところは、普通の車だとハマると動けなくなる可能性があるので要注意です。
高須川同様に濁っていますが、釣りにならないというレベルではありません。
この日ものべ竿に毛針をつけたチョウチン毛針で釣りをしますが、一向に魚の反応がありません。
毛針釣りが状況に合っていないせいでしょう。濁っているから魚が水面の毛針を見つけられていないのだ、きっと。
今度はルアー釣りに変更します。ルアーならキラキラしているので、濁っていても見つけてもらえるでしょう。
スピナーをゆっくり引いてくると、ぐぐっという重みが!
重みがある上に、ゴツゴツと動いています、デカいか?
ルアーに掛かっていたのは、紛れもない、木の根っこでした。
根がかりしたまま自分自身が歩いていたので、自分の動きが魚のように思えて、ゴツゴツした重たい引きに感じられただけでした。
どうして歩きながらルアーを引いていたのか、今振り返っても不思議です。
釣りをする気も失せ、川底で朽ちた軽トラに話しかけたりして気を紛らわせます。
俺「こんなところで1人、寂しかったろう。僕も1人で魚にも遊んでもらえず、寂しいよ」
軽トラ「・・・。」
川の中流域には集落が有ります。
あけないで下さい
ねこがはいっています
ねこがはいっています
あけないで下さい
【引用】ボロ家の貼り紙
2回繰り返された上に、2回目はなぜか倒置法が用いられています。
しかも野良猫が入ってきてしまうことを懸念しているのではなく、猫が入っている「ので」開けないでくれと訴えています。
飼い猫が逃げるという意味なら「猫が逃げてしまいます」の方が良いのではないでしょうか。
どちらにせよ、貼り紙から醸し出される雰囲気が恐ろしくなったので急いで逃げます。
* * *
いつもならヤマメは釣れなくても、アブラハヤやらカワムツが釣れて気分を紛らわせてくれるのですが、この日は外道さえも釣れてきません。
私の釣り技術が問題ではなく、こんな釣り技術でも釣られるだけのチョロいヤマメを繁殖させられていない地球に問題をなすり付けたいと思います。
しっかりしろ、地球!
福井の宿
貧乏性であり現実的にも貧乏の私は、地域で最も安い宿を徹底的に調べ上げて利用します。
この日は釣り場からも30分ほどで到着できるゲストハウスTAMADAを利用しました。>>フェイスブックページ
築70年の古民家を改装したゲストハウスで、50代くらいのご主人が1人で切り盛りしています。
コロナ禍でお客さんは私以外に誰もいませんでしたが、普段は海で遊ぶ人たちが利用していると思われます。
ご主人いわく「両親が亡くなり、この広い家で1人で生活している」とのこと。
海の前にあるので漁村かと勝手に思い込んでいましたが、この地域は漁村ではなく、会社や役所勤務の人も多いのだとか。
かなり気さくなご主人で、地域の情報を色々と教えてくれます。
和やかに談笑させていただきましたが、最後に彼がポツリと言った
「家族も居ないし、俺もここで孤独死するだけだよ」
という一言に、
「ハハハ」
と軽く笑えれば良かったのですが、妙に重く受け止めて黙ってしまったことを今も後悔しています。いや、それで良かったのか・・・。
家族が居ても居なくても、死ぬときは必ず1人ですもんね。
末永くゲストハウスを運営して頂けることを心からお祈りしています。
【竿】ダイワリバティクラブ 5.3メートル
実売価格は5,000円~8,000円程度です。安いですが全く問題なく使えます。
【ライン】実売400円の安いライン0.8号
【毛針】サイズは14番くらいを使っています
チョウチン毛針釣りの方法と道具についてはこちらでまとめています。
チョウチン毛針釣りは簡単な道具と動作で楽しめるので、ルアー、フライ、テンカラなどで行き詰まった私のような釣り人にもってこいの方法です。