三重県に、漁協の管轄にありながらそこから出たり入ったりで曖昧な状態にある河川が存在しているという情報が入りました。漁協はその支流にはアマゴの放流を行っておらず、天然ものが生息しているかもしれないとのことでした。
釣りをするのに遊漁券がいるのかいらないのかを漁協に電話で確認すると
「そのあたりには放流してないから、遊漁券無しで釣りして良いよ~」
との回答でした。放流をしていなくても遊漁料を取るところも多いように思いますが、ここには「放流してないのに遊漁券を徴収するとはどういうことか!」という苦情が来ているのでしょうか。それに便乗する形でタダで釣らせてもらえることになりました。
目次(スクロールします)
高速で行き先を間違える
ワクワクしながら高速道路で三重に向かいます。ゲートをくぐると、いきなり左右の分岐が現れました。釣り場へ行くのは右か左か?ナビはヒントすら出さず、この分岐とは違う、その次の分岐についての説明をしています。
落ち着いて調べようにも後ろから車も来ているので、止まるわけには行きません。
思い切って左へとハンドルを切りますが・・・間違えたようです。
ナビは予想外の私の動きにパニックになり、しばらくは私の間違いを受け入れること無く何事も起きていないかのように素知らぬ顔で振る舞っていましたが、その後全てを悟ったかのように、次の出口で降りるように指示してきます。
ナビが最初の分岐での説明をサボったばかりに、500円の高速料金を無駄にしてしまった・・・。普段あれだけ節約して、100円のジュースを買うにも悩むのに!
次の行き先を指示する前に、最初の分岐について説明を怠った謝罪は無いのか。
という気持ちを込めて「おい、ナビ!」と叫ぶと、ナビは普段の雄弁ぶりを忘れたかのように、気まずそうに黙りこくってしまいました。
そうか・・・。ナビもわかってはいるんだな。ナビは普段から前進するという選択肢は示しますが、
「5メートルバックしてください」など、バックするという選択肢を決して持ち出さない、前進主義者です。その信念を貫いて、今回も素早く次の出口を示してくれていたんですね。
その後改めて高速道路に乗って釣り場に急いでいると、
「運転して2時間が経過しています、そろそろ休憩しませんか?」
とナビが声をかけてくれました。私の体調に配慮してくれる存在など、世界中でナビだけです。さっきは悪かったよ、ナビさん。
* * *
無事にナビさんとの和解にも成功し、現地に到着です。
焦る気持ちを抑えて、釣り荷物を準備します。前回の釣りでは靴を履くのを忘れて川に向かってしまい、読者の方からも「バカか」というコメントを頂いたので、今回は入念に荷物を準備します。
もう馬鹿にされるのはごめんだ。竿を2本用意してきましたが、川に持ち込むのは1本で良いでしょう。釣具持った、スマホ持った、お茶持った。さぁ、川へ!
斜面を下って川に降ります。
斜面をヨイショと降りて、川に降り立ちます。川はやはり素晴らしいです。
感動して荷物を探るも、釣り竿が無いようです。そういえば1本はトランクに、一本は助手席に置いてきてしまった・・・。
まぁ川から車に戻るまで3分程度ですから、これは忘れ物には入りません。3秒ルールならぬ、3分ルールにより、ギリギリセーフです。
さて、このブログも写真と文章だけではまるで間が持たないことに気づき、水中動画で適当に間を埋めたいと思います。
小型カメラのGoproに自撮り棒を取り付けます。
これだけでは水中にカメラを入れるとWi-Fiをスマホに飛ばせなくなるので、自作したケーブルを取り付けます。
リコプテラさんのブログを参考に、自作しました。
これがあれば、水中の映像を手元のスマホで確認しながら撮影が可能です。
カメラを取り付けた棒を水中に差し込んでスマホを確認しますが、カメラに魚は写り込んでいません。
どうやらカメラを近づける前に魚に逃げられているようです。その後、私の姿に驚いて逃げていく魚の姿が何度か見えましたが、ヤマメではなくカワムツかもしれません。
しかし、そのときはふいに訪れました。不用意に川に近付いたかに見えましたが、魚からは死角だったのでしょうか。
かなり近くで撮影ができました。
ヤマメです。
水中に潜らない私がここまで魚の近くにカメラを近づけられたことは無かったので、感動です。
三重県にはド派手な朱点を持つアマゴが大量に放流されていて渓魚の風情を奪っているという話を聞くことがありますが、この河川のヤマメは朱点が無いようです。
一方、下の写真は三重のいなべ川で釣れたアマゴです。
ヤマメの遺伝系統に詳しい方に聞いてみると、この河川で見られた朱点がなくパーマークが丸に近い魚は天然のヤマメである可能性が高いとのことでした。
少し移動すると、別のポイントでもヤマメがカメラに映り込みました。私の下手なアプローチでもカメラにヤマメが入るということは、魚影が濃いと言えるでしょう。
続いて、カメラでヤマメを撮影しながら釣ってみたいと思います。面白い映像が撮れるのでは?!
しかし私は左手と右手を同時に動かせるほど器用ではなく、左手で竿を動かさないといけないのに右手でカメラを動かしたり、あべこべの動きをしてしまいます。
さらに、goproは撮影を開始するまではスマホで画面の確認ができますが、撮影を開始した後はカメラの向こうが見えない仕様になっており、撮影後に動画を確認してから愕然とすることになります。
2度ほど、ピンク色のミミズが左から流れ込んでくるのが見えるでしょうか。
これなどほんの小さな流れ込みにいるヤマメなのに、ヤマメの視界にミミズが入っていないようです。
小さな流れ込みであれば、どこに餌や毛針を落としても魚は見つけてくれているだろう、と思い込んでいましたが、それが間違いであることがわかりました。
撮影しながら釣られるほどヤマメは馬鹿ではありませんが、撮影せずに、釣りに集中すればきっと釣り上げられるでしょう。魚影も濃そうだし。
そう思ってカメラを手放してミミズを流すことに集中するも、全然魚が釣れてきません。
カメラであれだけ近づけるくらいに、魚影は濃いのに・・・。
別の河川に移動します。
こちらも平坦な川です。上の写真の水面近くに、白い虫がいくつか写り込んでいるのが見えるでしょうか。
これだけ川虫が飛んでいれば、毛針でわけもなく釣れるでしょう。
のべ竿に糸と毛針を結んだチョウチン毛針釣りに持ち替えます。
毛針を水面に流しながらどんどん上流を目指すも、何の反応もありません。
水面を力なく流れていく毛針は私からすれば虫にしか見えないのですが、ヤマメからはこれが虫以外のものに見えているのでしょうか?
毛針を流せど流せどヤマメどころかカワムツすら釣れてこないので、ムキになって堰堤をいくつも越えていきます。
堰堤を越えるごとに体力が削られていきますが、
「この堰堤の上に楽園が広がっているのかも」
などと夢想してしまい、堰堤越えをやめられず、結局ただ堰堤を越え続けるエクササイズを繰り返しただけでした。
近くの宿にて
ヤマメが釣れずに傷心気味で、釣り場近くの宿に移動します。
ここは旅館や民宿ではなく民泊形式で、ご家族と同じ屋根の下の別の部屋で泊まります。
宿のオーナーには小さなお子さんが2人いるのですが、彼らはとても人懐こく、髭面のワタシに怖がらずに話しかけて来ます。
まずは偵察隊として下の男の子(推定3歳)が私に声をかけてきます。特に子供好きでもない私ですが、1人で釣りをしていて寂しかったのでしょう。
良いおじさんになりすまして、子供に対応します。
そんな気さくなおじさんを見たお姉ちゃん(推定6歳)は「このおっさん、遊べるな」と値踏みしたのか、積極的に関わってきます。
「おじちゃん、何してるん?」
「いつまで居るん?」
ちなみにこちらのお宿は築130年の立派なお屋敷を改築したもので、どうやらこのあたり一面の大地主とお見受けしました。そんなオーナーの子供にごまをすっておけば・・・ゆくゆくはこの家の財宝や土地などの資産が、何かしらの形で転がり込んでくる可能性もゼロでは無いでしょう。
この宿を見ているうちにそんな下心も芽生えてきたのか、さらに優しいおじさんとして娘さんに関わっていると、彼女の攻撃はどんどんエスカレート。
ニッパーを持ち出して「これ何でも切れるんよ」と言いながら私のカバンを切り刻もうとしたり、お風呂まで追いかけてきて扉をガンガンノックして「おじちゃ~ん!!」と叫んだりします。
ゆっくり風呂に入りたい・・・いや、この家の財宝が!となんとかそれに耐えます。
風呂から出る時には彼女もおじちゃん遊びに飽きたのか、扉をノックする音も無くなっていました。
風呂から出て部屋に戻ろうとすると、靴が片方ありません。
参った・・・。
6歳の子供に「靴、返してよ~」と泣きつくのは、わびしい。
しかしご両親に「娘さんに靴を取られたのですが・・・」と訴え出ることもまたみっともない。
ということで、結局1人でとぼとぼと靴を探すことに。
幸い1分ほどで見つかりましたが、靴を探していないフリをして靴下のまま横目で散歩をするおじさんの姿は、どれほど惨めだったでしょう。
しかしその甲斐あったか無かったか、夜一人でヒマを持て余していると、オーナーさんが焼きビーフンを持ってきてくれました。食堂のチンケなビーフンと違い、具がたくさん入っていて美味い・・・。
次回はビーフンではなく家宝が手に入ることを祈りつつ、翌日は三重県内の別の支流に向かいました。
【竿】ダイワリバティクラブ 5.3メートル
実売価格は5,000円~8,000円程度です。安いですが全く問題なく使えます。
【ライン】実売400円の安いライン0.8号
【毛針】サイズは14番くらいを使っています
チョウチン毛針釣りの方法と道具についてはこちらでまとめています。
チョウチン毛針釣りは簡単な道具と動作で楽しめるので、ルアー、フライ、テンカラなどで行き詰まった私のような釣り人にもってこいの方法です。