2021年6月下旬に北海道の足寄、阿寒などで釣りをしたところ思った以上に楽しく、あれから1ヶ月も経たないうちにまたも北海道に来てしまいました。
足寄周辺は北海道の中でも特に暑く最高気温が35度になる日も多いため、足寄よりはやや涼しい中標津を選びました。
しかし訪問時には中標津も最高気温で29度で、暑さに弱いトラウトを釣るのは難しいように思いつつ、釣りを開始します。
目次(スクロールします)
標津川 栗栖畜産さん近く
アクセス | 中標津から20分 弟子屈から30分 |
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対象魚 | ヤマメ,ニジマス,オショロコマ |
遊漁券 | なし |
管轄漁協 | なし |
入渓のしやすさ | ★★★★☆ 夏場は少しやぶをこぎます |
歩きやすさ | ★★★★☆ |
魚の量 | ★★★★☆ |
魚のサイズ | 最大35cmほどのニジマスを見ました |
釧路空港に到着した私と同行者の2名は、地図上の赤マークのポイントに車を停めて川に入ろうとすると、既に3台の自転車が置いてあります。
釣りでもしているのかと川まで降りてみると、若い男女が3人で川辺に椅子を出して涼みながら、飲み食いをしているようです。
楽しそうだ・・・。
男女3人と言うと、男性2人に女性1人というよくある音楽ユニット(ドリカム状態と言うらしい)を連想されるかと思いますが、さにあらず。なんと男1人に女2人という逆ドリカム状態なのです。
私も彼のように女に囲まれて暮らすような人生であれば、年中トラウトの尻を追いかけ回すような実りのない趣味に固執することは無かったのかもしれません。
彼らが万が一、ここで釣りもしようと考えているのであれば、私がこのポイントを荒らすわけにはいきません。釣りをさせてほしいと一声かけようと、男性と目を合わせて
「釣りしても良いですか?」
と声をかけてみました。
すると、なんと彼は私の目を凝視したまま黙っていたのです。
足元では川の音が大きいので声が聞こえなかった可能性はあるとしても、私が何か意図を持って発声したことくらいは見えていたはずで、驚きました。
きっと女にモテモテの彼にしてみれば、川に自ら突っ込んで来た汚い格好のおじさんに用は無いのでしょう。こちらも彼からの
「可愛そうなおっさん・・・」
という哀れみの目線を気にせず、釣りをすることにします。
* * *
晴れ続きなので減水気味かと思われますが、深いところでは1メートルくらいの深さがあり、倒木などもあり良い環境です。
前回の北海道釣行に引き続き、今回も同行者は中森くん(仮名)です。
熊を必要以上に恐れて終始叫び続けている彼ですが、ヤマメ、ニジマス、オショロコマを釣り上げて上機嫌です。
一方の私は釣り場を彼に譲ってもらっているにも関わらず、全くルアーに魚を食いつかせることが出来ませんでした。
北海道の初日、これだけ魚が多い河川でボウズを食らったことは精神的に堪えたので、無理にでも釣り以外に楽しみを見出しつつ、本日を終えたいと思います。
農業と酪農の町である中標津らしい風景を車の外に見ながら、宿に向かいます。
傾きが良い感じの電柱だなぁ。
宿は2回建ての古い建物で、1階は食堂兼受付になっていました。
本棚に収まっている湿った分厚い本の雰囲気から、宿泊者の渋い客層が伺い知れます。
1階の食堂の目立つところにはメニューなどが貼られていることが多いですが、暴力団追放の紙が貼られているのも高ポイントです。
うむ、古臭い建物好きの私には完璧な装いの宿と言って差し支えありません。
これはゴミ置き場ではなくキッチンです。
私はここで食事をしないので問題はなく、ただただ私のボロ宿好きの心をくすぐるだけです。
そういえば、今日は魚釣りをしたんだったっけ?その結果魚が釣れたか釣れなかったかなど、どうでも良いのです。どうせリリースするのですから。それよりもこの宿の味わいです。
人の良さそうなご夫婦に受付を済ませて頂き、ギシギシ音がする階段を上がって部屋に向かいます。
出稼ぎで訪れた中標津で働き、この宿で休んだ男たちの血と汗と汁が染み込んでいるようです。
「昭和40年の釜ヶ崎の木賃宿です」
と紹介されればそのまま信用させる説得力を備えており、カレンダーが2021年であることが奇跡と言える状態です。
いつ建てられたのかは不明ですが、当時としてはかなりお洒落な内装だったのでは。
貸し売りというのは「ツケ払い」のことだそうです。
手書きではなくわざわざプラスチックに印字しているということは、日雇い労働者が「来週給料入るから、ちょっと支払い待ってよ」などと言いながら支払いを先延ばしにして、そのまま消えてしまうことが多かったのでしょう。
中標津の歴史をそのまま飲み込んだようなこの宿に浸って幸せを感じたいところでしたが、ある生理的な問題から目をそらすことが難しくなっていました。
臭くて臭くてどうしようもなかったのです。まるでわざわざ蒸した雑巾を顔面に押し付けられているような悪臭で、部屋から一歩出れば廊下でもトイレでもこの匂いがおかまいなしに襲って来るため、部屋以外では終始口呼吸をするクセが自然とついてしまいました。
恐る恐る便所に行くとぼっとん形式で、下をのぞくと先輩方の紙が賽銭箱のように神妙に積み重なっていました。
就寝後もぼっとん便所の臭さを完全に上回る雑巾臭にやられて、疲れているにも関わらず朝4時に目が覚めてしまい、2泊だった予定を1泊に変更しました。
私はレトロ好きだと思っていましたし、「昭和って良い時代だったのかな」などと無責任に思っていましたが、本物の昭和は汚くて不衛生でとんでもなく臭かった可能性があり、私が思っていたような甘い世界では無いことがわかりました。
結局、魚にも宿にも裏切られた格好で二日目のポイントに向かいます。
俣落川 母と子の家近く
アクセス | 中標津から15分 |
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対象魚 | ニジマス、ヤマメ、ウグイ、サクラマス(釣り禁止) |
遊漁券 | なし |
管轄漁協 | なし |
入渓のしやすさ | ★★★★☆ 夏場は少しやぶをこぎます |
歩きやすさ | ★★★★☆ |
魚の量 | ★★★★★ |
魚のサイズ | 12センチほどのヤマメが多かったですが、最大60cmほどのニジマスを見かけました。 |
「母と子の家」というただ事ならぬ名前の施設の近くから川に入りました。
晴れ続きの影響か水は少なく、底まで見えるところがほとんどです。
ルアーを投げ続けていると、小さいニジマスが釣れました。
しょうもないニジマスかもしれませんが、私には記念すべき一匹目です。
一方、同行者の方もニジマスとイワナを釣り上げています。
とはいえここは北海道です、10センチのニジマスで喜んでいるわけにはいきません。大物が潜んでいそうな深場にルアーを通してみると、渓流魚とは思えない重い魚が竿を曲げてきました。
ニジマスでしょうか?
ウグイでした。
「なんだ、ウグイかよ」
と思われたでしょうか?私も同感です。
しかし本州のウグイと何か違うのか、北海道のウグイはどこか佇まいが堂々としていて、普段ウグイにカメラなど向けない私もついつい写真を撮って楽しんでしまうのでした。
* * *
ウグイに妙に満足感を刺激され、鼻歌まじりに大きな淵に到着しました。
淵では何やら40センチほどの魚が何匹か群れています。
ウグイではなく、後に知人に聞いたところサクラマスではないか?とのことでした。
その群れを追いかけてルアーを投げていると、それらの魚よりもさらに大きい、55~60センチはあろうかという頭の大きい魚がぬーっとルアーを見に来て、我々の姿を認めたのか、まるでゴジラが海に帰っていくかのように堂々と川底に戻っていきました。
あぁびっくりした!
恐らくニジマスではないでしょうか。この水の少ない小さな河川であのような大きな魚が居たことに驚きです。
その後スプーンを投げ続けていると、何やら大きな魚が掛かりました。ぐいぐいダッシュしているのでサクラマスではなく、ニジマスでしょうか?
「魚がこちらに寄ってきたらすぐにリールを巻いてラインの張りを保て」という前回の同行者からのアドバイスを意識してやりとりしますが、ものの5秒ほどでスカスカの重みしか持たないルアーだけが手元に戻って来ました。
ラインの張りはキープ出来ていたのにバレたじゃないかと文句を言うと、どうやら今回は
「アワセが甘かったのでは?」
とのこと。魚がルアーを食って巻いていれば口は針に掛かっているものだと信じていたのですが、全くそうでは無い(釣り歴20年で初めて知りました)らしく、出来ればドラグを止めた状態でしっかりフッキングした方が良いのだそうです。
次に大きな魚がかかったら、ドラグを締めた状態でフッキングするぞ。
大きな魚が映るかもしれないと思い、水中にカメラを入れてみました。
サクラマスの群れも大きなニジマスもおらず、ただ小さなヤマメの大群が映っているだけでした。
【ロッド】バス用の安いルアー竿
【リール】2000番のリール
【ライン】PEライン0.6号(無くても大丈夫です)
【ライン(リーダー)】8ポンドのナイロンライン
【ルアー①】シルバークリークミノー50シンキング
【ルアー②】スプーン・pure3.5g
【ルアー③】スプーン・D-Sライン5g