関西在住で、私のように自家用車を持たずに車とレンタカーで釣りに行く方には鳥取県の南東部に位置する智頭駅を起点にする渓流釣りをおすすめしたいと思います。
智頭で渓流釣りをするメリットは6つです。
- 京都・大阪・神戸から好アクセス(大阪から電車一本2時間)
- 駅近くに安いレンタカー屋がある(キャルレンタカー:24時間3,900円)
- 駅近くに安い宿もある(楽之:素泊りドミトリー4,000円)
- 宿から15分圏内で釣り場に行ける
- 支流の数が多く、釣り人が多くても逃げられる
- イワナ、ヤマメ、アマゴ、ブラウントラウトが釣れる
渓流釣り場は山の上に位置していますが、一方で安いレンタカー屋や安い宿が集中しているのは山岳から遠い位置にある都市部です。
なので智頭のように渓流釣り場の近くにアクセスが良い駅と、安い宿とレンタカー屋がある環境というのは奇跡的な組み合わせと言えるのです。
智頭での釣りのデメリットは1点です。
- 釣り券が高い(1日3,500円)
渓流釣りをするためには遊漁券が必要です。1日の釣り券が1,000円~2,000円で設定されていることが多い中で、千代川はかなり強気の3,500円で打って出ています。
救いは3月から9月まで何度でも使える「年券」が5,500円になっていることです。なので日釣り券ではなく年券を購入し、意地でも2日以上釣りをして元を取るというのが、格安旅行を楽しむ者のミッションと言えるでしょう。
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智頭駅近くのキャルレンタカーで車を借り、兄と2人で芦津渓谷に入ります。
北俣川の芦津発電所上流から
芦津渓谷には今年の春にも訪れ、イワナとブラウントラウトを釣り上げたので魚はきっと生息しているでしょう。
車を停めて鼻息荒く、首を伸ばして川を2人で覗き込んでいると、下流側からルアーマンが釣り上ってきているようです。勝手に上流に回り込もうとしてしまったことを詫びようと近づくと、向こうからこちらに近づいてくるかのように道路に上がってこられました。
私「下流側であれば釣りをしても構わないですか?」
彼「ちょうど上がろうと思っていたので、どこでも大丈夫ですよ」
私「え、今から上流に行こうとされていたのでは?」
彼「いえ、全然釣れないので良いのです。移動しますので。」
普段は本流で釣りをするので支流には入らないという彼でしたが、我々が身を乗り出して川を睨んでいた様子が気持ち悪かったのか、さっさと別の支流へと移動していきました。
先行者が捨てていったポイントで私は延べ竿に短い糸と毛針を結んだチョウチン毛針釣り、兄は不慣れなルアーで釣りをします。
兄は私以上に釣りに不慣れなだけでなく、天然ボケ具合でも高い水準を誇る人材で、ルアーを自分のほぼ真上にある樹木に引っ掛けたりしています。
さらに、過去に類を見ない独特の投げ方をしています。
イワナらしき魚が掛かりましたが、バラしてしまいました。
「気付いてた!」と兄は言い張っていますが、全くアワセを入れていないところを見ると、本人は魚が水面で暴れだすまで、魚が食っていることに気付かなかったのではないかと思います。
その後もあらゆる不思議な投法を編み出してはルアーを木に絡ませていましたが、大きな滝で行き止まりになってしまいました。
この滝壺で大きなイワナが飛び出してくる・・・
はずでしたが何の音沙汰も無く、入渓点より下流へと釣り下りました。
* * *
私は釣りの中で最も難しい「投げる」という要素を省いた、毛針を上から落とすだけの「チョウチン毛針釣り」を愛用し、また初心者の同行者にもすすめています。
しかし釣り方がダサいことと簡単であることが逆に不評で、兄はチョウチン毛針釣りに興味を示さず「絶対にルアーで釣るんだ」と息巻いています。
しかし場所を移動した後で兄の方を見ると、先程とは違う釣り方に変わっています。
釣れなくなるとすぐにチョウチン毛針に逃げるのは私だけではなく、私の一族に共通する癖のようです。「今日はこれでやり通すぞ!」などと決意しておいて、貫けたことが一度もありません。
一方、私もこれまで一匹も釣り上げることが出来ていませんが、毛針を流しているとようやく魚が掛かりました。
自慢気に釣り上げてカメラにじっくり魚を見せていますが、明らかに針が口に掛かっていないことがバレています。
ヤマメやアマゴは毛針を口に入れず、尻尾ではたくことがありますが(警戒しているときに多い行動だと聞いたことが)その時に体に針が掛かったようです。
そう言えば先日SNSで「スレ掛かりさせた魚を自慢気に見せてるやつってバカだよな」という投稿を見かけました。
まさに私のことです。私はスレでもチビでも、釣れれば嬉しく、今回のアマゴも完全に釣果としてカウントさせて頂いています。
そもそもスレ掛かりなどという考え方ではなく「背釣り」という見解でいかがでしょうか。これならアユの友釣りと同じカテゴリに入れて差し支えないでしょう。
一方の兄は一匹も釣り上げることが出来ず、翌日は別支流である安蔵川に望みを託しました。