京都北部の無料河川でアマゴ釣り

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京都北部に向かう前に、伏見エリアにガチ中華のお店が密集していると知り散策します。

吸い込まれるように「中国物産」というお店に入ります。

物産と書かれている通り食品の物販もしていますがメインは飲食エリアで、11時過ぎには既にお客さんで賑わっていました。

ガチ中華にも幅が有り、私のような素人にもとっつきやすい店から本格的な店まであると思いますが、どうにもこのお店はガチ度が高いようです。

まず、お客さんと店員さんが20人ほど入っていますが、私以外はひとり残らず中国人です。隣の席の中国人男性は麺をすすりながら真剣な雰囲気で長電話をしていますが、他のお客さんも店員さんも気に留めていないようです。彼はたまに店の外に出て会話することもありますが、周囲への気遣いなどではなくヤバい会話を聞かれないためでしょう。共産党の悪口でも話しているのでしょうか。

メニューにかろうじて書かれている日本語を頼りに注文した刀削麺が出てくると、店員の中国人のおばちゃんがカタコトで

「ちょと待って!」

と、私の服が汁で汚れるのを気にして赤すぎるくらい赤いエプロンを持って出てきてくれました。接客も雑な対応かと高をくくっていましたが、侮れません。しかし店内を見回すと赤いエプロンをつけているのは私一人で、これは他のお客さんたちから共産党へのメッセージなのでしょうか。

こちらは許容量を越えた辛さにむせ返りそうになるのを我慢しつつ、真っ赤で美しい点を身にまとたアマゴを夢想しつつ川に向かいます。

 

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京都府北部にある漁協が管轄していない河川に到着しました。標高も低く、水もちょろちょろとしか流れていません。

今は田んぼに水が取られているシーズンなので、田んぼの上流に回り込めば水があるかもとさらに上流を目指してみますが、やはりか弱い流れしかありません。

京都北部アマゴ無料渓流釣り

 

水温計で測ると、なんと26度もあります。18度くらいまでが適水温と言われている魚なので、夏場にこれだけの暑さになる河川で生息するのは難しいでしょう。ただ、以前京都の由良川でアマゴを釣り上げたときの水温は22度でしたし、そもそも水温計の温度を示す液体も分離して壊れているようですし、どうにか可能性を信じて川に入ってみます。

川は砂混じりなのか薄汚い上に川と道路の間が舗装されているので景観も悪く、渓流の腐れ縁ことタカハヤがお似合いの河川です。水中カメラで探してみるとやはりタカハヤと思われる魚がうじゃうじゃ集っています。

最高気温36度のこの日、わざわざ車で2時間もかけてタカハヤを観察するに至っている現状に前向きな理由を付与することも難しくなってきました。

さらに隙間にもカメラを入れて行くと、アブラハヤではなさそうな魚が映っています。

アマゴ・・・。現地でgoproの中にアマゴを見つけた時、今まで出たことが無いような奇声を発してしまいました。皆様のところにも届いていたかと思いますが、お恥ずかしい限りです。

具体的な釣り場は有料記事に記載しています【舞鶴・豊岡から1.5時間】

映像で見るとアマゴは岩の隙間に挟まっていますが、暑さで苦しいのでしょうか・・・。もしかするとこの過酷な河川に生き残る最後の1匹かもしれません。

貴重なアマゴを大事にしなくては・・・などと言いつつ、そそくさとのべ竿を伸ばして釣る気満々です。ある時は自然保護主義者、ある時は自然破滅主義者・・・。つまりなんの主義も主張もなくただ自分の感情と適度な見栄えだけを意識して生きている物体です。

暑いので魚は流心にいると仮説を立てて毛針を流していきますが、あまり流れの無いところで釣れました。

 

京都北部の無料アマゴ

 

生き物はそう単純では無いようです。

それにしても、2025年以降も夏の暑さは増していくでしょうし、さらに手入れが行き届かない杉林では土砂が削れてアマゴが隠れる深場も少なくなっていくでしょう。

これほど標高も水量も無い河川のアマゴは10~20年後には普通に考えれば死滅するのでは無いでしょうか。これに対して我々は「アマゴが可哀想」などと考えてしまいますが、アマゴからすればこのように一見棲息に不向きな地域にも居着くことが分散戦略の一部で「問題無し」と捉えるのかもしれません。

 

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翌日も別の河川を2箇所回ってみましたが鱒の姿は見つからず、レンタカーの返却時間になりました。

返却手続きを待機していると、好青年風の店員さんがすまなそうにこちらに向かってきました。

「お車をこすられたようですが、ご記憶ありますか?」

と仰っています。こすった記憶は全くありませんが、木の枝に当たる可能性のある細道であれば何度も通ってきました。手でこすれば傷は薄くなりましたが、左側のドア2つに渡って大きな擦り傷が残っています。

店員「お客様は補償に入っておられませんので、費用をご負担頂くことになります。自走は可能なので5万円はかかりませんが、休業補償に当たるノンオペレーションチャージ2万円をお願いいたします。」

とのこと。

さてこの段階で、皆様なら2万円をお支払いになるでしょうか?

以前にも書いた気がしますが、高校1年生の時の誕生日プレゼントとして父親から6,000円の中古の釣り竿を買ってもらいましたが、その価格交渉をさせられた少年が大人になったバージョンが私です。もちろんこの場では絶対に支払いませんが、しかしどう反論すれば良いのか皆目検討もつきません。

店員さんの説明を聴くふりをしながら、こっそりAIツールに解決策を質問すると

  • 実際に修理されていない傷が車にあることを確認
  • この傷も「ノンオペレーション」には該当しないのではと指摘
  • 反省している雰囲気を出す
  • 今後も利用したいという前向きな態度も見せる

ことで無料で解決できるのではとアドバイスをもらったのでその通り実践します。

店員のお兄さんも説得しきれない面倒な客だと悟って責任者に当たる女性を呼びに行きました。彼女は男性店員の「ここに傷があります!」という懸命な説明を聴きながら車の側面を一瞥しますが、

「見えん!」

と一言だけ残してとっととその場を去っていきました。

随分寛大な対応だなと思いましたが、そういえば彼女の顔には見覚えが有ります。1ヶ月ほど前に返却したレンタカーの鍵を私が握りしめたまま帰宅してしまい、その後「すみませんでした!」と自転車に乗って息をきらして汗だくで渡しに行った時に、その哀れな姿に笑いを堪えていたのが私より年配に見える彼女でした。

助かった・・・。

人から見下される人生にも強みがあることを確認することが出来、旅を終えることが出来ました。

慈悲の心で「いいね!」
頂いております

渓流での「ボヤキ」を