徳島市から1時間、香川県高松から1.5時間以内の鮎喰川でアマゴを釣った我々は、那賀川の上流に移動しました。
那賀川支流 西蝉谷
アクセス | 徳島市から2時間 鳴門市から2時間強 阿南市から1時間半 高知市から2時間 |
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対象魚 | アマゴ |
遊漁券 | 年券8,000円 日釣券2,000円 現場売3,000円 |
入渓のしやすさ | ★★★☆☆ |
歩きやすさ | ★★★★☆ |
魚の量 | ★★★★★ |
魚のサイズ | 平均13㎝、最大20cm |
那賀町平谷の集落からも近い西蝉谷という支流に入ります。
地図の赤マークのところに車を駐車できます。
支流が2つに分かれており、吊橋を渡って西側の支流に入ります。
前日釣りをした鮎喰川の支流ほどは大きな岩も少なく、歩きやすい川でした。
釣り方はチョウチン毛針釣りですが、一投目からアマゴ(アメゴ)が食いついてきました。
普段は5.3メートルの竿を使うことが多いのですが、長竿の方が魚に見つからずに釣れるかな?という考えで6.1メートルの竿を使いました。
7.5メートルだと重くて使いにくかったのですが、6.1メートルであれば重すぎず、十分使える範囲です。
この川のように水の透明度が高い川では6.1メートルの方が良いかもしれません。
渓流釣り3回目で私よりも初心者の同行者にもアマゴが釣れました。
強風のせいで毛針を水面に浮かべることに苦労しています。
またしても毛針にアマゴが食いつきました。
風が強いと、魚が水面に落ちてくる陸上の昆虫を探しているのでしょうか?
釣りに行けばだいたい苦労をするという私の人生には珍しく、どんどん釣れます。
小さいアマゴが中心ですが、めぼしいポイントに毛針を浮かべれば、すなわちアマゴが釣れる状態です。
もうアマゴが釣れませんように!と祈って毛針を浮かべたとしても、残念ながらアマゴは釣れてしまいます。
アマゴが食っているのに、気づかずぼーっとして釣り逃しているケースも多いので、それらを含めれば4時間程度で20回以上はチャンスがあったのでは無いでしょうか。
自分が立ち小便をした石の上に弁当を広げて食事をするような、私に勝るとも劣らない天然ボケの同行者ですら
「釣れすぎて、アマゴの有り難みが無いですね」
「今日はアマゴと遊ぶ余裕がありましたね」
などと不遜なことを言う始末です。(とはいえ実際は18センチ以下のアマゴを5匹程度釣ったのみ)
小魚でも大いに満足出来る我々は、早い時間に切り上げて宿に入りました。
浮かれた我々はしかし、この後で訪れた宿で罰を受けるハメになるのです。
* * *
宿を訪問したのは2020年4月上旬のこと、ちょうどコロナウイルス感染症への警戒感が強まっている時期でした。前日に訪れた徳島市内の宿では
「キャンセルが相次いでいるので、予約が入ってよかった」
と歓迎を受けた我々でしたが、この宿では厄介者として扱われることになりました。
この宿が存在している集落は、小学校はあれど中学校は無い程度の小さな村です。高齢化は進むところまで進んでおり、75歳でも「若手」として重宝されるような、絵に書いたような限界集落だそうです。
宿の主人は、到着した我々の車のナンバープレートを凝視し、それが県外ナンバーであることを確認すると大慌てでマスクを取りに戻りました。
マスク姿で顔を見せた主人は
「あんたら、どこから来たんや」
と、まるで犯罪者を扱う口調です。
「あんたらが県外の人間やって知ってたら断ったのに・・・。」
予約の電話の際に居住地を聞かれなかったので、今更言われてもと思いつつ、
「すみません」
と平謝りするしかない我々。
ニートの私が外出する先と言えばスーパーだけという話もしてみたのですが、主人からすれば都会からのウイルス搬送者。一向に話を聞いてくれる様子はありませんでした。
夕食をテーブルに並べた宿の主人は、我々と距離を取るためにそそくさと宿の奥に引っ込んで・・・くれるのかと思いきや、なぜか我々の席から3メートルほど離れた位置にどかっと腰を下ろし、話しかけてきます。
どうやらこの集落で外部との接点がある人は極端に限られており、集落に感染者が出た場合真っ先に疑われるのがこの宿とのこと。
部落にウイルスを撒き散らしたのが自分だと知られたら、人口200人あまりのこの集落で生きていくことは出来ない・・・。そう考えている様子です。
我々を宿に泊めてしまった後悔や、今後の客からの予約をどう断ればよいのかなど、我々に言うべきかどうか疑わしい話を延々と聞かされます。
夕食は安い宿泊代に見合わない、そこそこ豪華な食事でしたが、
「こんな時期に、なんで来たんや・・・。」
という言葉を浴びせられながら食べる食事はそれほど味も香りもせず、
「だったらなんで、客を入れたんや・・・。」
という言葉とともに高速で飯を胃袋に流し込み、逃げるように床につきました。
前日はツケ払いの習慣があるスーパーで田舎特有の粘土の高さに驚いた我々ですが、この日はさらなる限界集落に生きる老人のネバネバ感を満喫し、那賀町を後にすることになりました。