先週に続いて神奈川県内にある、漁協が管轄していない河川に入りました。ここも標高が高くてイワナやヤマメが生息する可能性はありますが、ネット上ではそういった情報は出てきませんでした。
川に到着すると、すでにたくさん車が泊まっています。水は極めて透明度が高いです。
綺麗すぎて魚が居るのかどうか不安になりながら、水中にカメラを沈めてみます。
ヤマメやイワナが居そうな流れ込みにカメラを入れていきますが、ヤマメどころかカワムツやアブラハヤも姿が見られません。
おかしいな・・・。
ぶつぶつ言っているうちに、沢登りの男性2人に追い越されてしまいました。
水の透明度が高すぎて、カメラを入れる私の姿に驚いて魚が逃げているのかもしれないと考えて、カメラを置いて竿を取り出します。
投げなくても良い簡単な釣り方であるチョウチン毛針釣りで毛針を浮かべますが、やはり魚の反応はありません。
そもそもこの川には魚が居ないのでしょうか。だとすれば川沿いを行き交う人達も
「魚が居ないプールで竿を出すなんて」
「可愛そうな人だ」
とせせら笑いながら私の横を過ぎ去っているのでしょうか。
不安になりつつも、小銭を探す浮浪者のように水中をじっと睨みながら歩いていると、川底で白く光ってるものがあります。
魚の死骸のようです。気持ち悪さをおさえながらつまみだすと、ヤマメの死骸でした。
魚体はとても綺麗で、南蛮漬けのようです。
ヤマメの死骸があるということは、この河川にはヤマメが生息しているということでしょう。
いや待てよ。
誰かがどこがから生のヤマメを持ってきて、私を撹乱させるために上流に置いていったのでは?
いやいや、私のプロジェクトにそこまで妨害が入るほど価値はありません。
死骸にモチベーションを高めてもらい、どんどん川を上って行きます。
流れ込みと瀬が続くポイントでカメラを入れると、2匹のヤマメが映り込んでいました。
南蛮漬けになっていない、まさに生きたヤマメです。二匹泳いでいましたが、私に驚いたのか一匹は上流に隠れてしまいました。
撮影しながら感動していると、川の上流側から一人の年配男性が山を下ってきました。
こちらを見つけると、久々に帰省した孫を迎え入れるような満面の笑みを見せてくれました。こちらが帽子のつばに手をかけながら会釈をして頭を上げても、まだニコニコと笑っています。
その可愛らしい笑顔とリュックからピョンとはみ出た竿に釣られるように、そちらに近寄って声をかけるとこの川で釣りを続けるベテランで「上流にはヤマメが居たけど釣れなかった」と。
沢登りも餌釣りも通った後であれば、私に釣るチャンスは無いでしょう。彼と一緒に下山しようとするとおじさんは「もう少し頑張ってご覧よ」と優しい笑顔で励ましてくれました。
(俺と一緒にくだりたくなかったのか)と思いつつ、騙されたフリをして竿を出すと、本当にヤマメが釣れました。
なぜ横に向かってアワせを入れたのか自分でも不明ですが、釣り人っぽい感じになっています。
毛針を食いに来たヤマメを格好良く釣ったと思っていましたが、針は背中に掛かっていました。
体に黒点が無いヤマメです。こんなあっさりした模様のヤマメを初めて拝見しました。
続いて、別のヤマメが釣れました。

こちらもかなりツルンとした特徴的なヤマメです。
まさか釣り人と沢登りが過ぎた後で自分がヤマメを釣るとは思っていませんでした。自分を励ましてくれた優しい釣りおじさんを一瞬でも疑ってしまった自分を恥じたいと思います。
しかし、彼と出会わなければ釣りを止めようとも思わなかったわけだから、そこまで持ち上げる筋合いも無いのかもしれませんが。
ポイントを移動し、支流に入ります。
* * *
暗い谷底を流れる支流にカメラを入れると、大きなヤマメが淵を旋回していました。
夕暮れ時で映像が暗いですが、これを撮影しながらルアーで釣れば面白い映像になるのではないでしょうか。ルアーを通すと4投目で食ってきましたが・・・。
やはり釣り上げることはできず、魚は奥に隠れてしまったようです。映像で見ると魚がルアーに触ったように見えますが、釣っているときは自覚がありませんでした。
次のポイントではルアーを通す場所が無かったので、毛針を選択しました。すると、上の映像と同じくらいの、23センチほどのヤマメを釣り上げることができました。
撮影用に浅瀬に移動しようと思いましたが、ランディングネットを持っておらず、針に掛かったヤマメをブラブラしながら移動したところ、魚が体をくねらせた瞬間に針が外れて、ボチャンとヤマメが川に落ちてしまいました。川でヤマメが待っていてくれるわけもないのに、どこかに隠れていないかと冷たい水に肩まで突っ込みながら水中をまさぐる私なのでした。