前日、研究者からの依頼で漁協が無い河川でアマゴを釣り上げたものの「アマゴじゃなくてイワナが欲しい」と言われてしまったため、この日も同じ河川に入りました。
この日は最高気温が前日より4度ほど高い、春らしいお天気です。
冬の間は山に到着しても暖房が効いた車から降りるのが惜しい時がありましたが、この日は軽快にシートから飛び出します。
この時期、山に到着して大地を踏みしめた瞬間に必ず実感します。木々も私も長い長い冬を乗り越えて今、間違いなく春を迎えたのだという確信。
夕方まで、中に着込む必要も無いでしょう。大きく息を吸い込みます。木の葉がこすれる音に全身がうずき、目には涙が。鼻はムズムズ。
花粉は辛い。
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昨日アマゴを釣り上げたところより上流で竿を出してみますが、魚の反応は得られません。
川は平坦で魚の付き場になりそうなところがほとんど見当たりませんが、私の足元にでは滝壺が出来るのではと思うほど鼻水が流出しています。
かと言って私の足元の滝壺にイワナが来てくれるわけでもなく、この河川ではイワナを見つけることすら出来ませんでした。
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近くにこの河川の支流があったので、そこをのぞいてみます。
堰堤の下に水中カメラを入れると、イワナが居ました。
私が流した毛針を見に来ているようですが、泡が多すぎて毛針がどこを流れているのかわかりません。
イワナを釣ることは最高に楽しいですが、イワナがただ泳いでいる姿を見るのもまた素晴らしい時間です。泳いでいるだけで、ただ生きているだけで誰かを喜ばせてしまうイワナという魚は、一体何なのでしょうか。
一方の私も釣りをしているだけ、ただ一生懸命生きているだけで恥を塗り重ねて読者様の嘲笑を買っているという点では、同じなのかもしれません。
ここは漁協による放流が無いため、イワナは天然でしょうか。その点でも私は一切、引けを取りません。
何匹かのイワナを見つけることが出来たので、生息地域の把握がしたいだけの私としては十分な成果が得られましたが、この河川情報を教えてくれた研究者の目的であるイワナのヒレの一部を切除したサンプルが確保出来ていません。
彼からの情報提供の恩返しをすべく、翌日また同じ河川に入り直しました。
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昨日イワナを観察してみたところ、毛針を浮かべても見ている様子が無く、またルアーを流すにも困難な河川だったためこの日はエサ釣りの道具を用意して川に入りました。
餌は
- イクラ
- ブドウ虫
のどちらを購入するか悩みましたが、イクラよりブドウ虫の方が税込みで20円ほど安かったため迷うこと無くブドウ虫を購入しました。
まずは魚の姿を確認しようと、昨日イワナの姿を見かけたポイントに入ります。魚からこちらの姿が見えないよう、岩にくっつきながら、そぉ~っとカメラを入れると・・・。
魚は全く見当たりません。毎日同じポイントにイワナが居るわけではないんですね。
続いて、やはり昨日イワナの姿を確認したポイントに入ります。大きな堰堤の下に出来た深みにブドウ虫を入れると、イワナが釣れました。
昨日水中映像に映り込んでいた大きなイワナで間違い無さそうです。このイワナは水中で別格の存在感を放っており、30センチは超えているでしょう。
実際にメジャーで長さを測ってみると・・・20センチほどしかありません。
半年使わなかったのでメジャー自体が伸びて正確な値を示さなくなったのでしょうか。私の手の平の長さが20センチなのでそれで測り直すこともできましたが、やめておきました。
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その後もブロウ虫頼みで釣りを続けたところ、結局5匹のイワナを釣り上げることができました。
そのトラブルの多さから最近は敬遠してきた餌釣りですが、やはり活性が高くない時期には他の釣り方より簡単に釣れるように思いました。
釣り終了後、この河川でイワナのサンプルを取ってきて欲しいという研究者にLINEで報告を入れます。狙い通りに5つもサンプルを取ってきた私の釣り技術と、頂いた釣り場情報に対するお礼を忘れない義理堅さにひれ伏すのでは無いでしょうか。
私「イワナを5匹釣りましたよ」
研「場所はどこ?」
私「後でマップで送りますね」
研「ところで、先日送ってもらったサンプルだけど・・・」
感謝されるどころか大して興味も無さそうで、メッセージ1.5往復で別の話題に切り替えられました。
満開の桜を横目に、先程手にしたイワナのヌルっとした感触を思いながら家路へとつきました。
【ロッド】安くてコンパクトなルアー竿
2023年以降は↓を使っています。
【リール】2000番のリール
【ライン】PEライン0.6号(無くても大丈夫です)
【ライン(リーダー)】8ポンドのナイロンライン
【ルアー①】シルバークリークミノー50シンキング
【ルアー②】スプーン・pure3.5g
【ルアー③】スプーン・D-Sライン5g