愛知県の遊漁券いらない河川でアマゴ釣りと足助の町並みを堪能

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今回は北海道のルアーマンである陽気なダニエルさんとの釣りです。彼はいわゆるお勉強ではクラスで一番の秀才でありながら、釣りに行くと必ず釣具を失くし、代わりに鹿の角やら黒曜石やら不要なものを持ち帰っては奥様から捨てられているという「逆わらしべ長者」を実践する珍しい人物です。

二人で愛知の山奥にある足助(あすけ)という街に向かいます。足助は江戸期には街道沿いの物流拠点として栄えたところで、風情ある町並みです。

足助の町並み

足助のやや下流側に川湊があり、そこで陸に上げた塩をこの足助でブレンドして内陸部に運んでいたので、当時の信州では足助は塩の産地として認識されていたとか。

その足助で江戸末期から200年続くという、歴史しか染み付いていない玉田屋と言うお宿に入ります。内装は時代劇に迷い込んだかと言う雰囲気で、ふすまを一枚開ければ隣のお部屋にこんにちわという造りも現代では画期的とさえ言えます。

ダニエルが自ら収穫した行者ニンニクの醤油漬けで盛り上がり初日を終えましたが、どんな高級宿より、こういう民宿が最高だな。とはいえ高級宿に泊まったことがあるのかと言われれば、怪しい所ですが。

* * *

翌朝、釣りをしようと巴川を眺めていると、嬉しそうに軽トラの爺さんが近づいてきました。どうやら漁協の組合員で、現場で釣り券を売る仕事をしているようです。

爺「釣り券、買いますか?」

私は遊漁料を払うのも放流されたアマゴを釣るのもあまり好きではないので「遊漁料を払わずに釣り出来る所に入ります」と言うと、爺さんは

「そんなところは無いよ」

と断定口調で返答されました。自分の情報が間違えているかもしれないと、マップを見せながら確認しますが、彼は何の知識も無かったようで、私の説明を聞くまでもなく

「勉強不足で、知りません」

と唐突に尻すぼみになり、さっさと現場を離れていきました。

・・・。逆に当初の勢いは、何を根拠にしていたのでしょうか。

2年前に長野県の釣り場で漁協の管轄外の河川を管轄内とでっちあげられて遊漁料をまきあげられそうになるという恐ろしい商法に遭ったことを思い出しました。

下伊那漁協とトラブル【いつもの釣り場、ほんとに漁協の管轄?】

内水面漁協とは既得権益にまみれて薄汚れた集団だと半ば決めつけていましたが、やはりそうなのか・・・。

漁協の管轄から外れたポイントに入って毛針を浮かせてみると、すぐに小さなアマゴが釣れました。

愛知県無料渓流釣りアマゴ

可愛い・・・。

誰にも管理されていないところで釣れるアマゴって、いいな・・・。放流されたアマゴが入り込んできている可能性も大いに有ると思いますが、人間の管理から外れた「裏道」で楽しむことに根源的な喜びがあるように思います。

具体的な釣り場は有料記事に記載しています

一方、デカいルアーしか持っておらず苦労しているダニエルも、どこかから逃げ出してきたのか?ニジマスを釣り上げて楽しんでいます。

そして驚くべきことに、今回は彼も私も釣具を現場に忘れること無く(もしくはそれにも気付かず!)機嫌よくランチに出かけます。たまたま立ち寄った神社の隣にある「松井商店」と言うカフェに入りました。

女性店員さん3名は仕事場ではなく、客席に揃って今からまかないを食べようとしているところです。彼女たちは我々に気づくとすぐに手を止めて注文を取りに来る・・・かと思いきや、まるで私たちが幽霊であることを願うかのように、来店に気付かないふりをして律儀に「いただきます」をして一口、二口と丁寧に、でも少し急ぐように食物を口に運び込みます。

しかし残念ながら我々が人類であることに気づくと、一番若手と思われる女性だけが立ち上がり、ようやくお店が動き出しました。

これはひどいお店に入ってしまったかなと怪しんでいましたが、運ばれてきた料理はとても美味しく、ギャップに驚かされます。

ランチをしながらダニエルに近況を聞いてみると、トラブルで困っているところなのだとか。彼は先日、自分の車を壁にぶつけてしまったので保険会社に請求すると、その大手保険会社から

「あなた、薬物依存症ですね?(飲んでいる処方薬を指して)」
「ドラレコを拝見しましたが、異常な運転をしていますね?(北海道の凍った道路で滑る様子から)」

等と手を変え品を変え主張され、保険の支払を渋られているのだとか。爽やかな雰囲気のCMなど流していますが、大手保険会社とはこのような集団なのでしょうか?

陶芸家の河井寛次郎は「美しいものはすべて 無名の中で育つ」と言ったそう(違うかも)ですが、漁協と言い保険会社と言い、権力を持ったり有名になってしまうと、このように歪んだ行動に出ることを宿命づけられているのでしょうか。

話は転じて、今回行こうと思っていた飲食店がことごとく定休日であったことを振り返っていると、ダニエルが

「ほら私、運が悪いじゃないですか」

と当たり前の前提であるかのように言い出しました。自分を不運であると認識しながらこれだけ朗らかなダニエルに驚きです。ダニエルいわく、

「先日なんて仕事で必要なコピー用紙をお店に買いに行ったら、コピー用紙だけが無かったんです」
「私が家から出ると、その瞬間に雨が降り出すんです」

でも運良く信号に入る直前に青になったことも何度もあるでしょうし、素敵な出会いに恵まれたことも有るはずです。例えば持ち帰った不要な鹿の角をそっと廃棄してくれる素敵な奥様と巡り合っているじゃないかと言ってみた所

「はい。妻からも”その運の悪さを何とかしろ”と言われていまして・・・。」

とのこと。最も身近な存在である奥様だけが彼を「幸運の持ち主である」と認めてあげることも出来ると思いましたが、ここで彼の悪運は宿命付けられました。

雑談をして足助の地図など見入っているうちに時間が過ぎ、今日のうちに飛行機で移動する彼を駅まで送る時間になりました。1時間ほど川沿いの道を通り抜けて駅に到着し、お別れの儀式です。

私が「また忘れ物して盛り上げなくて大丈夫ですよ」と言うと

ダニ「もうそんなことしませんよ(笑)今回は何から何まで、ありがとうございました!」

とシメにかかっていますが、後部座席を見ると堂々と彼のロッドケースが置かれていました。冗談かと確認すると、

ダニ「これは、本当に忘れました」

とのこと。では逆に、店の方まで動員して散々探し回った鍵が頭と帽子の間から出てきたのはギャグだったのかと気になりつつ、最後まで楽しませてくれるダニエルさんなのでした。

 

* * *

 

2日目は1人で漁協が無い河川にアマゴを探しに行きます。

狙い通りに入渓後すぐに毛針で釣りあげましたが、見事にカワムツでした。

この無神経そうな顔面に無性に腹が立つのは、自分に似ているということでしょうか。もしこの世にカワムツしか居なくなったら、それでも私は釣りを楽しめるでしょうか。

かつて松本人志さんが、「もしこの世に唯一残った女性が山田花子さんだったら」という話をしていましたが・・・続きはやめておこう。イワナが花、とも言うし。

その後、ポイントを上流にうつして釣りを再開します。魚が居そうなポイントなのに毛針に反応が無いということは魚が水面を見てない可能性が高いと判断し、毛針を跳ねさせて気づかせることにします。

水面で毛針をひきずっていると、大きなアマゴらしき魚が食いつきました。普通に流して釣れなかったアマゴを引きずり出した俺の勝利です。気持ち良い!

と思いきや、本当に魚が出てきたことにびっくりして上手くアワせられず・・・。

 

今年釣り上げたことが無いくらいデカかったな・・・。

後悔をひきずりながら竿を出していくと、魚が食ったように見えたので素早くアワせます。しかし、魚が食いついて毛針が消えたのではなく、毛針が影に入って消えたように感じただけでした。「あつものに懲りて膾を吹く」の通り、先ほどの失敗に懲りて過剰に反応してしまっている自分が悲しくなります。

その後木の枝にしっかりフッキングなどもしながら、ようやくアマゴが釣れました。

愛知県無料渓流釣りアマゴ

 

釣れてしまうとあら不思議、魚の動きを完璧に把握して狙い通りに引き出すことが出来たような気分になってきました。

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そう言えば子どもの頃に野球をやっていて、チームでも抜きん出た下手さ加減でしたが、わずかに放った偶然のヒット一本で

「コツを完璧に掴んでしまった・・・」

と思い込んだこともありました。今日もあらゆる失敗は律儀に忘れ、課題を振り返ることもなく気分良く川を去ることになりました。

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